アップセルから「解約抑止」という目標の変換。継続率99%を誇るカスタマーサクセスができるまで|株式会社カオナビ
アップセルから「解約抑止」へと、目標ががらりと変わるなか、どのようにして新たな目標に対する目線を組織内で揃えていったのか。 「まずは、解約が増えているという事実を可視化し、メンバー間で共有しました。また、アップセルで5万円の売上を獲得するよりも既存のユーザーさまに継続していただくほうが、確度が高いという認識を揃えていきました。その観点は、現場目線でも納得感があったと思います」 とはいえ、アップセルのような直接、売上に貢献するアプローチを重視する声もあったという。 「たしかに、理想は解約抑止を主軸に、アップセルも付随して頑張りたいという気持ちでした。そのため、アップセルと解約抑止、両方を目標に据える期間を設けたこともあります。しかし、目標に対する認識に個々人でばらつきがあり、判断に迷う場面が多くなった結果、メンバーからさまざまな疑問が出てきました。 共通の目標に向かうことができなければ、組織全体として推進力を持って動くことができないと、痛感しましたね。同時に両方を追うのは難しいと判断し、まずは『解約抑止』に向けたアプローチを重視するという方針を明確にしたのです」
解約抑止だけで終わらない。前例のないコミュニティづくりでユーザー同士の学び合いも促進
そこから、1対nという面でユーザーの活用を支援するセミナーを拡充。また、サービス導入のタイミングでキックオフを実施し、最初の立ち上がりを支援した後は、専任のカスタマーサクセス担当が定期的な接点を持つというアプローチ方法を定めていった。結果として解約件数も減少し、カスタマーサクセスの存在意義は周囲から認められるようになった。 ただ、ここで終わりではない。 「その後は、我々からのアプローチだけでなく、ユーザーさま同士で学び合いながら、交流が生まれるような場、つまりはコミュニティをつくっていきました。そもそも、我々が主戦場としている『タレントマネジメント』という言葉は定義が広く、ユーザーさまによってやりたいことがまったく異なるという性質があります。そのため、ユーザーさまはツールをどう活用するか以前に、自社の人事課題解決に向け、人事として何をすべきなのかで迷われる。ツールの活用方法だけをご支援しても、ユーザーさまのニーズを満たせないと感じました。 こうしたお悩みは我々だけでは解決できないことも多く、同じ境遇の人事担当者に相談することで解決できるケースもあります。そこで、ツールの活用方法に限らず、自社の人事課題解決につながるヒントを得たり、人事担当者同士でお悩みを相談したりする場が必要だと考え、『カオナビキャンパス』を立ち上げたのです」