阪神対DeNA 3回表DeNA無死一塁、佐野は二塁打を放つ（撮影・上田博志）

＜セ・CSファーストステージ：阪神1－3DeNA＞◇第1戦◇12日◇甲子園 　阪神は最終回に1点を返すのがやっとだった。先発才木が3回に1点をとられて追いかける展開が続いた。 　山田　才木は毎回のようにピンチを背負いながらも、必死に要所を抑えたから、よく1点で収まった。短期決戦だから、初戦が大事なのは当たり前で、どちらが先に点をとるかというのがポイントになるのは言うまでもない。逆にいうと、いかに両チームが失点を防ぐかという勝負だ。阪神ベンチの計算外は、7回の佐野の一打だったはずだ。 　1点ビハインドの阪神は7回1死、2番手・桐敷が2番牧に初球を左越え二塁打を許した。続く佐野にこれも初球を三塁線を抜かれる左前打で一、三塁。代わった石井が、右中間を割る2点二塁打を浴びた。 　山田　ピッチャーの出し惜しみは命取りになる。どんどんリリーフをつぎ込んでいくのは間違いではない。6回からリリーフし、イニングをまたいだ7回の桐敷が、当たっている牧に二塁打を許したのは、ある意味仕方がなかった。わたしが計算外といったのは、左の佐野にヒットでつながれ一打だった。1球目はもっと注意深く入るべきだった。ここを抑えて2死でオースティンを迎えれば、勝負を避けるなど、いろいろ策がとれたことだろう。つまり佐野に打たれたことで大ピンチを作ってしまったのが誤算だった。 　一方のDeNAは、先発東が4回で降板したが、その後のリリーフ陣に踏ん張られた。 　山田　DeNAも東が早々とマウンドを降りて継投が苦しかったはずだ。どちらかというと不安のある中継ぎ陣だが、山崎、佐々木、坂本と、回の“頭”からつぎ込むこともできたのは大きかった。左の坂本を左打者の佐藤輝、前川にはめることもできたから計算通りに運んだ。1点でもリードした「強み」、ビハインドの「弱み」、つまり両軍の明暗を分けたのは、先取点の「重み」だった。阪神は第2戦で投手陣を全員スタンバイさせて1勝1敗のタイに戻したい。【取材・構成＝寺尾博和編集委員】