なぜ「古代魚」顔? 京王電車の新型デザイン決め手は… 設計担当者を直撃したら“ウラ話”聞けました!
「丸目」が生まれたワケ
古代魚「サカバンバスピス」に前面デザインが似ているとSNSなどで話題になったのが、京王電鉄が2026年初めに導入する新型の通勤車両2000系です。そこで、設計を担当した社員に話を聞いたところ、「参考」にした意外なもの、初代2000系を踏襲した点、京王線の「アイコン」復活などの“ウラ話”を語ってくれました。 【現役です!】今も快走する京王の初代2000系電車(写真) 新型2000系は1編成10両で、JR東日本子会社の総合車両製作所(横浜市)が製造します。最初の編成が26年初めに営業運転を始め、京王では27年3月までに計4編成を導入します。 外観の前面、側面ともに「円」をモチーフとし、中でも強烈な印象を与えるのが「丸目」の前照灯です。設計を担当した京王電鉄車両電気部車両企画担当の宮園朋菜さんは、デザインに関して「乗用車の円形ヘッドライトを参考にした」と明かしてくれました。 前照灯の設計者は「前職で自動車メーカーを担当していた」経験を持つそうで、「乗用車風にしてくださいねと伝えると、鉄道車両に合うようにアレンジしてくれた」のだといいます。 宮園さんは、前照灯には同じ型式の「初代2000系らしさもどこかに残したい」という思いも込めたと説明しました。1957年に登場した初代2000系はカルダン駆動の新性能車で、後継の2010系とともに京王で最後となる緑一色の車体でした。 初代2000系は円形の前照灯だったことから、それを踏まえて新型も「丸目」の前照灯を採用し、「より大きくかわいらしく、はっきりさせた」とか。ちなみに、前照灯の位置についても「初代2000系の尾灯があったのとほぼ同じ場所」に配置されています。 なお、2000系の尾灯は前照灯に組み込むことで、赤い光も円形状に放たれます。
復活の「アイコン」とは
車両は「円」をモチーフにデザインされていますが、その意匠は車体側面の水玉模様にも生かされています。2000系の側面は、京王の特色であるチェリーレッドのラインが上部に、インディゴブルーのラインが下部にそれぞれ伸びています。なお、京王では2030年代前半にホームドアの整備完了を目指していることから、車体上部にラインを引けばホームドアが閉まっていても隠れません。 ところが、ラインが上下に分かれたことで宮園さんいわく「(車体側面の)真ん中が寂しい感じになった」そうで、このことが課題として浮上したとのこと。 そこで、「京王らしさだけではなく、新しさも表現できたらいい」と採用したのが側面に入る水玉模様でした。水玉模様の色合いも「ブルーに近い水色とか、レッドに近いピンクとか、ブルーとレッドを合わせた紫などいろいろ試し、(車体のラインと)全然違う感触にならないようにしている」そうです。 ちなみに、水玉模様は車内の座席や床の一部、車両間の連結部に設けられた貫通扉のガラスにも装飾します。 ほかにも2000系では、座席指定列車「京王ライナー」などに使われる5000系でいったん消滅していた京王線の「アイコン」と呼ぶべき色も復活しています。それはアイボリー(クリーム色)です。 これについて宮園さんは「アイボリーを採用することによって電車に京王らしさが出るため今後も踏襲していきたいという声が社内で上がり、復活させることになりました」と話していました。