なぜ「古代魚」顔? 京王電車の新型デザイン決め手は… 設計担当者を直撃したら“ウラ話”聞けました!
「サカバンバスピス似」に対する反応は…
2000系の中間に配置される5号車には、京王電鉄で初めてとなる大型フリースペースを設けます。ここは、ベビーカーや車いすの利用者と同行者にも過ごしやすいように配慮した空間で、利用者へのアンケートでも7割程度が好意的な反応を示したそうです。 このスペースはとりわけきめ細かい心配りをしています。壁沿いと中央部に取り付けたクッションは簡易座席の役割を果たすようになっており、「普通の座席に深く腰かけた場合だと立ち上がる時に結構大変な高齢者らが、ちょっと寄りかかれるぐらいの高さにしています」(宮園さん)。 また、側面の窓を大型化したのは「窓の(下部の)位置を下げることによって、小さなお子様が車窓を眺められるようにしました」と語っていました。 なお、フリースペースを5号車に設けたのは、京王線の駅で、ちょうどのこの位置にエレベーターが設置されている駅が多いという配慮からです。 前面デザインが「サカバンバスピス似」という意見が多く出たことへの受け止めも尋ねました。宮園さんは「似たのは偶然です」としつつ、「2000系はかわいらしいデザインなので、かわいらしいサカバンバスピスと結び付けていただいて好意的に受け止めています」とのこと。加えて、こんなすてきなエピソードまで教えてくれました。 宮園さんは2000系の設計が一段落したタイミングで産休・育休を取得したそうで、その間に2000系のデザインが発表されました。すると、上司(当時)が盛り上がりに便乗する形でサカバンバスピスの縫いぐるみを探し出して購入し、こっそり宮園さんの席に置いてくれたのだとか。 職場への復帰はやや緊張する場面ですが、宮園さんは自席にサカバンバスピスの縫いぐるみが“鎮座”しているのを見つけて相好を崩したそうです。 こんな心温まる職場から生み出された2000系が、利用者にも優しい空間になるのは間違いないと、筆者(大塚圭一郎:共同通信社経済部次長)はこのハナシを聞いて感慨深くなりました。
大塚圭一郎(共同通信社経済部次長・鉄旅オブザイヤー審査員)