日本高野連に所属しない選手たちは「リーガ・サマーキャンプ」に何を求め、何を感じたのか?
ドラフト候補の投手が球速140キロ台の球を投げ込み、大学経由でプロを目指すスラッガーが木製バットで鋭いライナーを弾き返す──。 【写真】プロが注目する2024年のドラフト候補たち フォトギャラリー 夏の甲子園に出場できなかった高校3年生たちが26万9500円の参加費を支払い、8月9日から17日まで北海道の栗山町民球場とエスコンフィールドで初開催された「リーガ・サマーキャンプ」。そこにはNPBやMLB、さらに四国と北海道の独立リーグのスカウトも視察に訪れ、高い志を持つ高校生たちにとってショーケースのような意味合いも込められた。 「高校野球に新たな価値をつくりたい」 一般社団法人『ジャパン・ベースボール・イノベーション』の阪長友仁代表がそう志を抱き、リーグ戦、7イニング制、監督不在など既存の高校野球とは異なる設定で行なわれたなか、52人の参加者には「リーガ・サマーキャンプ」だからこそエントリーできた選手がいた。日本高等学校野球連盟に所属していない4人だ。 【3年ぶりの実戦機会】 夢は独立リーガー──。 胸に大志を秘め、3年ぶりに実戦機会を得たのが、軽度の知的障害を抱えて日本体育大学附属高等支援学校(北海道網走市)に通う工藤琉人だった。 「周りはオレが陸上部だと知っているなか、本気で向かってきてくれました。三振しても悔しいと感じるのではなく、うれしいと思っちゃいました」 思わずこぼれた笑みから、野球をできる幸せが伝わってきた。 工藤は小学2年生で野球を始めて中学でも高いレベルを誇ったが、進学した日本体育大学附属高等支援学校には野球部がなく、陸上部で主にやり投げや円盤投げ、砲丸投げをやっていた。 子どもの頃から投げることが得意で、第61回北海道障がい者スポーツ大会の陸上競技ではソフトボール投げ(障害区分27-少)で優勝。記録97m67は全国記録を6m以上も上回る快挙だった。やり投げも第76回北海道高等学校陸上競技選手権大会で49m53を記録した腕前だ。