【アーセナル分析コラム】あまりに美しかった45分。ウーデゴールが不在だからこそ生み出された、新たな形とは?
プレミアリーグ第6節、アーセナル対レスターが現地時間28日に行われ、4-2でホームチームが勝利した。後半アディショナルタイムの劇的な2ゴールに注目が集まりがちだが、前半に選手たちが見せた多彩な攻撃も忘れてはならない。マルティン・ウーデゴールが不在だからこそ、チームは新たな攻撃の形を見せた。(文:竹内快) 【動画】アーセナル対レスター ハイライト
完璧だった前半、圧巻だった後半。
試合前半はすべてが完璧。後半は手に汗握る圧巻のエンターテインメントだった。 思っていたよりもスリリングなゲームとなった、というのがアーセナル側の感想だろう。ホームチームは前半で2点リードを奪ったが、後半にレスターに追いつかれ2-2に。相手GKマッズ・ハーマンセンが好セーブを連発したことで苦戦した。 しかし、後半アディショナルタイムにレアンドロ・トロサール(注:公式記録ではウィルフレッド・ディディのオウンゴールとなった)、カイ・ハフェルツのゴールで勝ち越しに成功している。 そのドラマチックな試合展開からは、優勝争いをするチームに欠かせない勝負強さを感じた。 しかし、このコラムでは敢えて、試合前半のアーセナルのパフォーマンスにスポットライトを当てたい。マルティン・ウーデゴールという大黒柱を欠いている状況でも、アーセナルはその不在を感じさせない圧倒的な攻撃力を発揮していた。 ウーデゴールが不可欠な戦力であることは言うまでもない。だが、“ウーデゴールがいないからこそ”生み出される攻撃の形もあるのだ。
カギを握るのは両サイドバックの動き
ミケル・アルテタ監督は、サイドで選手たちが立ち位置を連続的に入れ替えることで、レスターの守備に綻びを作ることを目指した。 これに対して、レスターを率いるスティーブ・クーパー監督は、ボール非保持時[4-4-2]の布陣を採用。アーセナルのウイング(ブカヨ・サカとガブリエル・マルティネッリ)にボールが入ると、サイドハーフの選手がサイドバックとともにダブルチームで対応した。サイドに人数をかける徹底したディフェンスで、その脅威の無効化を図ったのだろう。 しかし、アーセナルの右SBユリエン・ティンバー、左SBリッカルド・カラフィオーリの動きがそれを無効化することになる。 彼らはハーフレーンとサイドレーンを上手く使い分けながら前方のウイングをサポート。ダイナミックな攻撃参加でサカやマルティネッリに1対1のシチュエーションを提供した。 これに、右サイドではカイ・ハフェルツが、左サイドではデクラン・ライス、レアンドロ・トロサール、ガブリエウ・マガリャンイスが加わった攻撃が展開された。