歴代の記念モデルでたどる「マツダ・ロードスター」の35年
初代の誕生から35年
「マツダ・ロードスター35周年記念車」が発表された。10月19日(土)、20日(日)の2日にわたって富士スピードウェイで開催された「MAZDA FAN FESTA(マツダファンフェスタ)2024 at FUJI SPEEDWAY」の初日、土曜日のことだった。 【写真】歴代の記念モデルはこちらで見られます(12枚) “人馬一体”を掲げた初代ロードスターのデビューは1989年2月のシカゴオートショー。海外名「MX-5ミアータ」は、無関係だけど、日本全国の宮田さんになんとなくうれしい思いをもたらした。国内発売は同年9月。それから10年の歳月があっという間に流れ、1998年の年の瀬、10周年記念車が発表された。それは「イノセントブルーマイカ」なる濃紺のボディー色をまとった2代目のNB型で、内装は黒を基調にブルーを組み合わせたツートン。世界統一仕様のこれは、国内向けが500台、海外向けが7000台の限定だった。 20周年記念車は2009年7月発売で、こちらは3代目NC型のボディーを「クリスタルホワイトパールマイカ」という白地で包み、レカロの赤と黒のバケットシートを真ん中に置いて、あたかも日の丸のごとしだった。発表の時点でシリーズ累計生産台数は86万台に達し、ギネスの世界記録「小型オープンスポーツカーカテゴリー生産台数世界一(80万台以上)」に認定されてもいた。リーマンショック直後の世界恐慌のさなか、ニッポンの心意気を見せたのだった。 その5年後、25周年記念車が発売された。同じくNC型をベースに、国内はわずか25台の限定で、ロードスターの存続が危ぶまれていた時期だったかもしれない。ボディー色は広島カープの色でもある「ソウルレッドプレミアムレッド」、ルーフはブラックの、いかにも熱きスポーツカー。内装にはオフホワイトのレザーシートがおごられていた。おまけにピストン、コネクションロッド、フライホイールなどエンジンの回転系には厳選部品を使用。ルーフは意外や自動折りたたみ式ハードトップのみだった。 30周年記念車は2019年4月発売で、現行ND型がベースだった。ND型は2015年デビューだから、すでに4年を経ていた。ボディー色は専用色の「心が沸き立つ一日の始まりを予感させる、朝焼けのような『レーシングオレンジ』」で、レカロのシート、ビルシュタインのダンパー(MT車のみ)、ブレンボのフロントブレーキキャリパーと、世界の一流品を標準装備。世界限定3000台で、国内はリトラクタブルハードトップの「RF」と合わせて150台(のちに249台に拡大)。価格はMTのみのソフトトップで368万2800円。ロードスターはこの時点で累計生産台数100万台超に到達。朝焼けのようなレーシングオレンジ色は、日出る国の広島から世界の熱狂的ファンに向けての贈り物だった。