私たち、理想のカップルだったはずなのに…44歳女性、10年間連れ添った〈2歳年下パートナー〉の急死で直面した「想定外の出来事」に頭を抱えたワケ【相続の専門家が解説】
事実婚を選んだカップルにとって、相続問題は想定外のトラブルを招くことがあります。事実婚の44歳女性がパートナーの急逝後に直面したマンションの相続手続きの問題とは? 本記事では、相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が事例をまじえて詳しく解説します。 年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
同居するパートナーが亡くなっても自分の名義にできない!
藤井さん(44歳女性)はパートナーとマンションを購入して同居を始めてから、すでに10年になります。バブルがはじけてピーク時よりは手頃感が出てきたことや、家賃の負担よりも買ってしまったほうがいいという雰囲気があったので、それぞれの貯金を出し、2分の1ずつの割合で買うことにしたのです。ローンもそれぞれ別々に借りています。 互いに離婚歴があるわけでもなく、結婚届を出せない事情はないのですが、子供に恵まれなかったこともあり、仕事を優先したため、結婚届を出してどちらかの苗字が変わることのほうが煩わしく思い、そのまま過ごしてきたということです。仕事や生活をしていくなかでは結婚届を出さないことは大きな問題も煩わしさもなかったことから、何ら不自由はなく、自他ともに認める「理想のカップル」でした。
パートナーが急死して直面した現実
ところが、事実婚が問題になったのは、パートナーの病気が発覚して急死したときでした。パートナーは建設関係の営業マンで42歳になったばかり。これからまだまだ働き盛りというときに、会社の健診でがんが見つかり、再検査をしたときには余命数ヶ月と告知されたのです。そして告知されたとおりの入院期間で亡くなってしまいました。 葬儀は、父親が取り仕切り、身内だけで簡単に済ませましたが、そのあとの手続きが大変でした。 形は同居する夫婦でも、結婚届を出していないのは、配偶者でも妻でもなく、「他人」だということに今更ながら気づかされたといいます。入院、手術など病院の手続きは同居するパートナーということで保証人として藤井さんができましたが、いざ、亡くなってしまうと”パートナー”ではできないことばかり。預金の引き出しすらできないと知ったのでした。