医師との二刀流 元ムエタイ王者の岡田将人 タイトルマッチで判定負け…それでも闘う理由とは
埼玉県内の病院で臨床研修医として命を見つめる、岡田将人(31)には別の顔があります。タイ式ボクシング、ムエタイのプロ格闘家です。2月24日に行われたスーパーウェルター級の国内の暫定王座決定戦で、岡田は惜しくも判定負けしました。それでも医師との二刀流と続ける理由とは。 【写真を見る】医師との二刀流 元ムエタイ王者の岡田将人 タイトルマッチで判定負け…それでも闘う理由とは 岡田は大分市出身で、20歳のころに単身タイに渡り、肘や膝も使えるタイ式ボクシングのムエタイを始めました。大分に帰ったあとプロデビューすると、本場のムエタイ技術で勝ち星を積み上げ、2つの国内団体でチャンピオンベルトを手にしました。 格闘家と並行して、23歳のときに大分大学医学部に入学し、卒業後は埼玉県春日部市で臨床研修医として働いていて、診療や手術などの経験を積みながら、救急科の専門医を志しています。 (先輩医師)「診療上の判断がすべて的確で、なんでもできる二刀流みたいな人なのかな」「研修医だけでも毎日大変なのに、格闘技のためにトレーニングをやっているのが信じられない」 大学卒業を機に一度は競技から離れましたが、研修医1年目の冬に活動を再開。去年11月に現役チャンピオンと対戦し、大金星をあげました。そして急遽、タイトルマッチに声がかかりました。 タイトルマッチの前夜、大分の恩人たちと昔話に花を咲かせました。二刀流への挑戦を続ける背景には10歳の時に亡くなった父・秀司さん(享年48)の言葉がありました。 (岡田将人)「父から将来なにになりたいかと聞かれて、まだわからないと言ったら、好きなことをして生きろと言われて、それが最後の会話だった」 2月24日の決戦の地は「格闘技の聖地」、東京・後楽園ホールです。岡田がタイトルに挑む「KNOCK OUT」は国内屈指のメジャー団体で、開催するキックボクシングイベントは人気が高く、それゆえにチャンピオンの価値は高いものがあります。今回は肘打ちも、膝蹴りも使えるムエタイルールで行われました。 スーパーウェルター級のタイトルマッチは5ラウンド。序盤は相手にコントロールされる苦しい展開が続きますが、徐々に岡田がペースを握ると、強烈なキックと肘打ちでダメージを重ねていきます。
迎えた最終ラウンド、両者とも死力を尽くす戦いに会場のボルテージは最高潮に。どちらもダウンはなく、勝敗は判定に委ねられます。 3人のジャッジが1対2にわかれるスプリット判定で、惜しくも敗れると岡田はリングの上にくずれ落ちました。確かな手応えを感じていただけに、悔しさと落胆で顔をあげることができませんでした。 (岡田将人さん)「勝ったかな、勝ってなくても延長かなぐらいだったので、マジか…悔しい。これはちょっと立ち直るのに時間がかかります」 試合後、会場につめかけてくれた恩人たちに感謝の言葉を伝えた岡田。敗戦を喫したものの、医師とプロ格闘家の二刀流を継続し、これからも多くのファンを魅了します。
大分放送