ウニの口から見つかった寄生虫、国内初確認はめでたいが食べても大丈夫…?専門家「アニサキスとは異なる」
鹿児島湾などで採取した有毒ウニの口内から、国内初となる寄生虫が見つかった記事を掲載したところ、「人体に影響がないのか?」といった疑問が寄せられた。発見した鹿児島大学の上野大輔教授(水族寄生虫学)は「人が食べても問題ない」と解説する。 【写真】国内で初めて見つかった寄生虫ランタンノタネビ(上野大輔教授提供)
ガンガゼ類のウニ口内から発見されたのは、ホソエラジラミ科の寄生虫の一種。赤い体色などにちなみ、標準和名はランタンノタネビと名付けられ、6月上旬に公表された。 上野教授によると、ランタンノタネビはカイアシ類の小さな甲殻類で、多くはプランクトンとして海を漂い魚などの餌となる生物。「シラスもカイアシ類をよく食べる。加工品のちりめんじゃこのお腹の中に、だいだい色の粒状のカイアシ類を見たことがある人も多いはずだ」と説明する。 ランタンノタネビは、進化の過程でウニ口内へすみかを移した珍しい種だが、基本的にはシラスの餌となる生物と同じ仲間。生活様式から「寄生虫」とは呼ばれるものの、激しい腹痛をもたらす厄介者として有名なアニサキスなどとは近縁ではなく、生態も異なるため人に害はないという。 上野教授は「寄生虫は、われわれが認識するより多く身近に存在し、その大部分は人に悪い影響を与えない。そうした理解を広げていきたい」と語った。
南日本新聞 | 鹿児島