【小倉記念】8歳ダンスアジョイが16番人気激走で最高齢V 真夏の中距離ハンデ重賞を「記録」で振り返る
0.8秒、5馬身差の圧勝劇を演じたマリアエレーナ
ダンスアジョイの勝利は、タイム差なしのハナ差決着。期間内では11回、タイム差なしで決着している(京都開催の1998年を含む)。イクノディクタスやロサード、メールドグラースといった馬たちも、タイム差なしでの小倉記念勝ち馬である。その他、0.1秒差は6回、0.2秒差は7回、0.3秒差は6回と、接戦での決着が多い。 その中で大きくタイム差をつけて勝利した馬をランキングにすると、3位タイが0.5秒差の2008年ドリームジャーニー、2018年トリオンフで、2位が0.7秒差の1989年ダンツミラクル、1位が0.8秒差の2022年マリアエレーナ。圧勝劇を演じた上位2頭は、いずれも牝馬である。 ドリームジャーニーは2歳マイル王者となって以降はしばらく低迷していたが、新しく迎えた鞍上・池添謙一騎手との2戦目である小倉記念で5戦ぶりの勝利。ここでの圧勝から、翌年の宝塚記念、有馬記念の両グランプリ制覇へと繋がっていった。トリオンフは北海道サマーセールにて864万円で落札された馬で、この小倉記念勝利は同年の小倉大賞典に続く重賞2勝目だった。翌年には中山金杯も制したが、屈腱炎で無念の引退となった。その獲得賞金は2億を超える非常に馬主孝行な馬だったとも言える。 ダンツミラクルは上がり最速で勝利をあげた素質馬。引退後も繁殖牝馬として期待されたものの、産駒がいずれも牡馬で、現在はその血は残っていない。マリアエレーナは叔父にダービー馬ワグネリアンがいるという良血、かつ鋭い末脚で期待された牝馬。重賞5度目の挑戦で念願のタイトルを手にしたのがこの小倉記念。2着以下に5馬身差をつける圧勝劇であった。 舞台が替わる今年は圧勝劇が見れるのか、それとも大接戦なのか。ベテランvs若馬の構図にも注目しつつ見守りたい。 ライタープロフィール 緒方きしん 競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。
緒方きしん