「200円」でも嬉しい…認知症の人が痛感する、働くことの「重要な意味」…私らみたいな者でも使ってくれるのだったら
事業への理解と広がりが今後の課題
5月末に岡山市によるセミナーが開かれ、来年度からの参加に興味を持つ岡山市内の11の介護事業所が参加した。 全国では介護事業所が個別に同じような取り組みをやっている事例もあるが、“介護サービスを受けながら賃金を得てもいい”という理解が広がっていない。岡山市のように行政が主導して実施している例は珍しく、事業への理解と広がりが今後の課題だ。 「色々と広がっていないこともありますし、この事業に関してご理解をいただく。もっと活躍の場ができるように取り組んで行きたい」(岡山市医療福祉戦略室 江田大輔室長) セミナーに出席した、「ハタラク」への参加に前向きな介護事業者に話を聞いた。 「やはり高齢者の方々の生きがいを一緒に探して行きたい。ただ普通一般にあるデイサービスとはまた違ったデイサービスを作り上げたいなという気持ちがあって」 「最近新しく来られた利用者に『今までいろんな仕事をしてきて、いろんな人の役に立ってきたのに、病気で出来なくなってしまった。なのに、機会がない。 今からいっぱいまだ出来ることがあるのに働かせてもらえないんだ』という男性がおられて、その方のためにも、うちの事業所でそういった取り組みをやっていけたらなと思っています」 介護や支援が必要になっても、認知症になっても、まだまだ“出来ること”がたくさんある。掃除や内職に取り組む高齢者が生き生きしていて、笑顔で取り組んでいることが印象的だった。スーパーマーケットで掃除を終えた認知症の女性(81)も、笑顔で話してくれた。 「いやあ、それは綺麗になることはいいことだけどね。私らみたいな者でも使ってくれるのだったら有難いです。(今後も続けていこうと思いますか? )それはまた考えます(笑)」
春川 正明(ジャーナリスト)