「車いす社長」の父との思い出ヒントに新たな介護トラベルサービス開発
介護医療分野で革新的な機器やサービスの開発を手掛けるハンディネットワークインターナショナル(大阪府箕面市)の春山哲朗社長が、従来にはなかった介護トラベルサービスを創案し販売を開始した。開発のヒントになったのは、父と楽しんだ濃密なる家族旅行の思い出だった。その父とは同社の創業者で、『闘う車いす社長』として活躍したものの、昨年惜しまれながら亡くなった春山満さんだ。
家族全員で楽しめるオリジナル旅行提案
春山哲朗社長が開発したのは「グッドタイムトラベル」。介護が必要な高齢者と出かける新しい家族の旅を、家族に代わって総合的にサポートする。 高齢者にとって、旅行はつねに人気調査で上位に入る半面、介護を受け始めると、旅行とは縁遠くなりがちだ。春山社長は「介護は家族の負担が大きい。旅行をすると、家族の負担はさらに重くなってしまう。高齢者は家族に遠慮をして旅行をあきらめ、家族も日々の介護に追われるうちに、旅行への関心が薄れていく」と分析する。 「グッドタイムトラベル」は、旅行に伴う家族の負担を徹底的に軽減。家族全員で安心して楽しめるオリジナル企画旅行を提案する。家族から問い合わせを受けた時点で、ヒアリングを実施。介護の状況やリクエストなどを面談方式で確認した上で、旅行プランを作成。予算の見積もり、最終打ち合わせを経て、旅行へ出発する。もっとも注目されるのは、介護旅行の専門スタッフ「トラベルケアアテンダント」制の導入だ。 「トラベルケアアテンダントは介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)の資格を持ち、当社の教育プログラムを受けて訓練されたケアスタッフです。介護が必要な高齢者おひとりに対して、トラベルケアアテンダントが1名ずつ旅行に同行し、ご家族に代わって介護を担当させていただきます」(春山社長) 「グッドタイムトラベル」事業の開始日は2月23日。昨年亡くなった春山満さんの命日だ。新事業の着想は満さんと出かけた家族旅行から生まれた。