令和時代に輝くFC東京・久保建英の凄さの秘密が判明!
サッカーでは不可避のシーンとなる球際のボディコンタクトは、通常ならば「バチン」という擬態語がふさわしい。力と力の激突は迫力満点で見る側を興奮させるが、一方で反発し合うことでお互いにバランスを崩し、負荷をこらえながら必死に踏ん張ることで場合によってはけがの原因になりかねない。 高橋の話を聞いていて、フィジカルコーチとして豊富な実績と経験をもつ、池田誠剛氏(現サンフレッチェ広島フィジカルコーチ)の話を思い出さずにはいられなかった。横浜F・マリノス時代の2003シーズンに指導した、元日本代表FW久保竜彦の筋肉の特徴を池田氏はこう表現したことがある。 「たとえるならば、しなってもすぐ元に戻るという意味で、柳の木となるでしょうか」 本来ならば相反する要素となる「パワー」と「柔らかさ」が、鮮やかなまでに融合していた点に、日本のフィジカルコーチの第一人者である池田氏は、大きな衝撃を受けたと明かしてくれた。 パワーに秀でた選手は数多くいても、柳の木のような柔らかさをもちあわせる選手は日本人では稀だったからだ。加えて、体の柔らかさは、けがを未然に防ぐことにもつながるという。 そして、松本山雅戦におけるくだんのシーンの続きを見れば、一戦ごとに存在感を増している久保の筋肉も、他の日本人選手とは異なっていることがうかがえる。何がなんでも止めようとした高橋が、体を半身にした状態で久保に再びプレッシャーをかけた直後だった。 高橋がかけてきた力を逆に利用するように、久保が体ひとつ分だけ前に出た。衝撃を受けてしなった柳が元に戻る際に生じる反発力が、久保を前に出させたと表現すべきだろうか。そのままドリブルコースを前方に取られ、ファウルで止めることもできなくなった流れに、高橋は脱帽するしかなかった。 「海外のサッカーなどを見ていても、ああいうシーンがよくありますよね。(久保選手は)小さなころから海外を経験している、ということもあるんじゃないですかね。あの場面で(自分の)上を狙ってくるというアイデアも、本当に素晴らしいものがあると思いました」