中学受験算数の入試問題から考える学校側が求める子 基礎が大事なのはゲーム攻略と一緒 桜井信一の攻める中学受験
中学受験算数の難易度は昔も今も変わらないのでしょうか。 私は13年前から解き始めましたが、その時点で解いている問題は数年前までの過去問が中心ですからざっと20年分の流れを知っていることになります。 思い返すと難しくなっているのです。全体が難しくなっているのではなく、難関校の算数が難しくなっていると思います。十数年前に「こんなの高校で習うんだろ。小学生に解かせるなよ」という難問。これが何年か後に典型的な受験算数の問題になり、問題集には「頻出」なんてマークがつくのです。 そりゃそうです。賢い子に同じ手は何度も通用しないのであっさり攻略されてしまう。難問だった問題が平易な問題になってしまうのです。 では、攻略し尽くされた問題はどこへ行くかというと、中堅校の入試問題になるのです。これは、入学試験の目的が異なるからではないかと思っています。難関校は賢い子の競争のままですが、中堅校は頑張る子を選抜する。以前は難問だった問題が頻出になったといっても、それを知らなければやっぱり難しい問題のまま。初見なら難問のままなのです。これをたくさん演習してくる頑張る子、中堅校の選抜には難問を出題するよりも頻出で十分役目を果たせると思います。 確かに賢い子も欲しいでしょう。しかし、最難関校のように大半を優秀層で占めることができない以上、欲しいのは優秀な子ではなく頑張る子、努力型の子だと思うのです。 中学に入ってから英単語をコツコツと頑張る子、そんな子が教室にたくさんいるとモチベーションも高くなる。頑張る子は6年間の学校生活にとても重要な役割を果たし、大学の進学実績にも貢献してくれるでしょう。 そう考えると、難関校の問題と中堅校の問題の難易度に大きな開きが出ていることに気付きます。段階的に難しくなっているのではなく急に階段が何段か抜けている感じ。確かにそう。最近の難関校の問題は初見ではなかなか厳しいものがあります。それを攻略するには、賢い頭か、問題を丁寧に処理する能力かということになります。 「あれ?難しくなっていると感じるのにどうして自分は解けるのだろう」。よく考えると、私は説明する立場なのでできるだけ丁寧に順序立てて書く必要があります。いつしか最初から順序立てて考えるようになる。これが解ける理由ではないかと思うのです。