ハリルJが抱える4つの不安
最悪の診断結果が待っていた。7日に行われたシリア代表との国際親善試合を、不完全燃焼感の募る1‐1のドローで終えてから約4時間後。開始早々に相手選手との接触プレーで左肩を痛め、交代を余儀なくされていたMF香川真司(ボルシア・ドルトムント)が、患部を脱臼していることが判明した。 正式な診断名は「左肩関節前方脱臼」で、全治などは不明。退場後にロッカールームで治療を受けていた香川は、試合後に都内の病院へ向かっていた。13日にイランの首都テヘランで行われる、イラク代表とのW杯アジア最終予選第8節への出場は極めて難しくなった。 終わったばかりの2016‐17シーズンではなかなかピッチに立てない状況が続いたが、終盤戦においてトーマス・トゥヘル前監督の信頼を獲得。ドルトムントが頂点に立った先月27日のドイツカップ決勝では先発フル出場を果たすなど、自信を膨らませて帰国していた。 実際、日本代表モードに切り替えた香川は充実した表情を見せていただけに、イラク戦を前にチームを離脱すれば、ハリルジャパンにとって大きな痛手となる。もっとも、仮想・イラクとしてシリアと対峙した東京スタジアムのピッチでは、香川の故障以外にも2つの不安要素が顔をのぞかせている。 まずはシーズンを終えたばかりの海外組が、動きに精彩を欠いた点だ。たとえばUAE(アラブ首長国連邦)、タイ両代表に連勝した3月シリーズで2得点3アシストと大暴れを演じたFW久保裕也(ヘント)が放ったシュートは、前半アディショナルタイムの1本だけだった。 ハーフタイムにはFW本田圭佑(ACミラン)と交代。不発のままベンチへ下がった23歳の成長株は「味方との距離が遠かったし、孤立していたというか、個人で打開するしか方法がないような感じだった」と連携不足を課題としてあげた。 海外組は先月28日から原則午前、午後の二部練習が組まれた代表合宿を千葉県内で消化。メニューは走り込みなどフィジカル系が中心で、戦術的な練習はゼロだった。疲労がピークにあるうえ、4日のJ1をへて合流した国内組もまずはリカバリーに努めた。 常時顔を会わせられない代表チームにおける、宿命と言っていいのかもしれない。今後はコンディションをしっかり調整しながら、これまでに培われた連携を思い出していく作業が教務になる。