「世間ではもう“終わった選手”だと…」サッカー日本代表・小川航基26歳が“消えた天才”にならなかった理由「でも腐ったことは一度もない」
ワールドカップアジア2次予選・ミャンマー戦で2ゴールを決めた小川航基(26歳)。オランダ1部のNECナイメヘンで充実のシーズンを過ごした好調そのまま、スタメン起用の期待に応えた。“超高校級”と謳われながら、大怪我も重なり、もがき苦しんだ時間の方が長かったプロ生活。批判や悪い噂にも惑わされず、自分を貫けた要因は何か。覚醒の時を迎える大器が赤裸々に明かす〈NumberWebインタビュー全3回の1回目/第2回、第3回も公開中〉。 【画像】「コウキ~!」現地キッズに大人気の小川航基(26歳)「左膝がブチッ…」堂安も冨安も泣いた悲劇のU-20W杯“絶対エースの人生を変えた大怪我”ピッチに倒れ込んだ決定的瞬間、高校時代~茶髪イケイケ期まで全部見る(40枚超) 今年3月、国立競技場のミックスゾーン。記者の取材対応を終えた小川航基は、こんな言葉を残してスタジアムを後にした。 「日本代表は僕がずっと目指していた場所というか、自分がここに来ることができる存在だとずっと思い描いてきた。今、26歳。僕の中で初代表のようなものなので、相当遠回りをしてしまったという気持ちはあります」 この日、国立競技場ではワールドカップアジア2次予選・北朝鮮戦が行われていた。小川は1-0で迎えた81分に投入され、実に4年3カ月ぶりとなるA代表のピッチに帰ってきた。帰ってきたと言っても、前回は国内組を中心としたメンバーで臨んだ2019年12月のE-1選手権。実質、この試合がA代表デビュー戦とも言えた。 「(メンバーに)選ばれて率直に嬉しかったのですが、少し見方を変えてみると『俺は何をやっていたんだろう』という感覚です」 選手たるもの、ネガティブな思いはなかなか言葉にしづらい。だが、小川はごく自然と自身の思いを言葉にする。 「20歳からJ1で点を獲り始め、22歳くらいにポンと海外に出て、A代表にすぐ入るというイメージでいました。それがここまでになってしまったというのは、間違いなく自分の責任。多分、世間の人たちも『終わった選手』と一度は思っていたと思いますよ」 終わった選手――そう印象付けられても仕方ないほど、大きな期待を背負った選手だった。 2023年夏、小川は25歳にして初の海外移籍を果たした。前年に横浜FCでJ1昇格に貢献し、26得点を挙げて自身もJ2得点王に。J1で半年間プレーした後、オランダ・エールディビジのNECナイメヘンへ期限付き移籍を勝ち取った。 リーグ開幕戦初ゴールを奪うと、終わってみれば公式戦15ゴールを挙げ、ECLのプレーオフ進出に貢献。完全移籍を自らの手で掴み取り、その活躍が森保一監督の目に留まって日本代表にも復帰を果たしている。 ――この1年を振り返って。 「僕の中で本当に濃く、今までにない刺激の大きな1年だったと思います。ゴールを決めた試合もあれば、スタメンから外された試合も。その中でA代表にも呼ばれて、いろいろなことが重なった1年でした」 ――ずっと待ち望んでいた海外移籍でしたしね。 「そうですね。でも同時に、もっと早く来たかったなとも感じています。もちろん日本も素晴らしい環境ですが、海外に飛び出して、新しい環境で頑張ったこの1年間が物凄く充実して楽しかったです」 ――チームメイトには20歳の佐野航大選手(パリ五輪日本代表候補)がいます。 「彼を見ていると、すごく羨ましいですし、自分が20歳の時と比べてしまいました。もっと早く海外に出てきていたら、どうなっていたかなと」 ――でも、小川選手も20歳の時に海外移籍できるチャンスはあった。 「U-20W杯では世界と戦える自信はありました。初戦(南アフリカ戦)のパフォーマンスで『海外から話が来るかも』と感じたし、実際にあったと聞きました。でも、ウルグアイ戦の怪我で、海外挑戦のタイミングを失ってしまった」
【関連記事】
- 〈つづきを読む→第2回〉「小川、全然使えない」「あいつの何がいいの?」小川航基が苦しかったと語る“ジュビロ9番”時代…痛烈な批判を浴びてもブレなかった恩師との約束
- 〈あわせて読む→第3回〉「(上田)綺世に限らず、FW全員がライバル」2年前に小川航基が抱いた使命感…「W杯ベスト8の壁を破るためには自分のようなFWが必要」
- 【画像】「コウキ~!!」現地キッズに大人気の小川航基(26歳)「左膝がブチッ…」堂安も冨安も泣いた悲劇のU-20W杯“絶対エースの人生を変えた大怪我”ピッチに倒れ込んだ瞬間、争奪戦になった高校時代~茶髪イケイケ期まで全部見る(40枚超)
- 【必読】「お酒に逃げた」25歳で引退した堂安律の“元相棒”が初告白…“遠藤保仁の後継者”と呼ばれた天才パサーの後悔「なんであんな行動したんやろ」
- 【話題】“消えた天才”あの高校サッカー得点王は今…「もしかして、あの平澤さんですか?」“Jリーガーにならなかった男”が選んだ超一流企業の仕事