“アメトラ”の巨匠、トミー・ヒルフィガーに訊くプレッピーへの想い
トミー ヒルフィガーが表参道店のリニューアルオープン1周年を記念して、4月17日(水)にスペシャルイベント「People’s Place」を開催。来日したトミー・ヒルフィガーに、プレッピースタイルの魅力などを訊いた。 【写真の記事を読む】トミー ヒルフィガーが表参道店のリニューアルオープン1周年を記念して、4月17日(水)にスペシャルイベント「People’s Place」を開催。来日したトミー・ヒルフィガーに、プレッピースタイルの魅力などを訊いた。
創業当時より、本邦において幅広い層から支持を得ているトミーヒルフィガー。なかでも東京・表参道の旗艦店は、世界的なアメトラブランドの“今”を発信する大事な拠点だ。そこで、6年ぶりに来日を果したトミー・ヒルフィガーに、表参道店への想いとブランドのこれから、そしてプレッピースタイルが持つ変わらない魅力を訊いた。 ──表参道店は、原宿という日本におけるトレンド発信エリアのなかでも、とりわけ中心に位置しています。約12年ほどこの地で営業を続け、去年は大々的なリニューアルを経ています。改めてこのショップを訪れて感じることはありますか? 日本における重要な旗艦店であるので、以前からリフレッシュが必要だと感じていました。誰でも歳をとるとリフトアップが必要ですからね(笑)。ともあれ、去年のリニューアルでかなり若返ることができたと感じています。なかでも1階のメインフロアは理想的な仕上がりになっています。モダンでありながらブランドのアイデンティティがしっかり伝わるインテリアとウェアの配置には満足しています。アメリカらしいクラシックな美観とクールなスタイルが、バランス良く表現できているのではないでしょうか。 ──トミー ヒルフィガーは米国的なトラッドやプレッピースタイルを体現してきたブランドです。伝統をひとつの軸としていると思いますが、そういったブランドを発展させるためのポイントというと、どんな部分が挙げられるでしょうか? 一番大切であるのはブランドのコアとなるDNDを守ることであると信じています。しかし、コレクションの新鮮さを保つためにはシーズンによって新しいファブリックやシェイプ、それにディテールをアレンジすることが重要です。具体的には1985年のブランドスタート時は、ややオーバーサイズにデザインしました。その後、2000年の初期にはスリムへと移行し、そしてまた昨今はリラックスフィットが今のコンシューマー求めるものなので、大きめのシェイプに戻しています。とは言えブランドのDNAは書き換えていません。素材やディテールで時代感を表現しているのです。 ──久しぶりの来日で、表参道店の周辺などを眺めてみて、日本のストリートの状況に何か感じることはありますか? 街で見掛ける若い人達は、スケートやサーフ、それにアウトドアを軸としたストリートスタイルを楽しんでいるように感じますね。私たちが手掛けるトミー ジーンズも、似たような世界観をもって若々しく元気なスタイルをシームレスに表現しています。全体的にスポーツに寄せた着こなしが印象に残りましたね。 ──トミーさんは現在、第一線で活躍している創業デザイナーのひとりです。ブランドのさらなる発展という意味で、今後は世代交代なども視野に入れつつ活動されているのでしょうか? その通りです。すでに現在は多岐にわたるデザインチームが社内のクリエイティブを担当しています。ですので、私は主にブランドの方向性や全体的なイメージ作りを手掛けています。世界中のチームと協力して、ブランドのヴィジョンに一貫性を持たせて共感が得られるようにする一方で、イノベーションを促進しながらファッション業界の境界線を押し拡げていく過程を楽しんでいます。 若く優秀なデザイナーたちとの連携で、トミーヒルフィガーというブランドを総合的に動かしています。 ──トミー ヒルフィガーというブランドが、アメリカントラッドをコアに据え発展してきたように、『GQ』は、その名のとおり“ジェントルマン”をひとつのアイデンティティとして継続してきました。トミーさんの考える“ジェントルマン”とは、どのような存在であるかお聞かせください。 私にとって“ジェントルマン”とは、自分自身を深く理解し、他者に対して自信と尊敬の念を表し道徳的な価値観を強く守り、誰に対しても優しさと威厳をもって接する人のことです。それは外見と行動の両面において誠実さと気品を体現し。時代を超えたエレガンスと洗練を反映している存在が、 最高の“ジェントルマン”だと考えています。 ──アメリカントラッドやプレッピーが持つ魅力とは、どういったものととらえていますか? アメリカンプレップの魅力は、タイムレスな順応性にあると思います。大学やプレップスクールに通う若者たちに定番のブレザーやボタンダウンシャツ、それにゴルフシャツやチノトラウザーズなどは長い年月をかけて洗練されたデザインとディテールを備えて進化してきました。今や世界的なファッショントレンドとなっています。そういったアイテムはアレンジが可能な余白を持っています。そこに私たちがオリジナリティある感覚やクリエイティブ、それに時代性を融合させており、そういったアレンジを無限に受け付けるところに、トラッドやプレッピーの魅力があると感じています。