「瀬戸内国際芸術祭2025」が25年4月より開催。17ヶ所の会場でアジアとのつながりを創出
瀬戸内海の直島をはじめとする複数会場で展開される「瀬戸内国際芸術祭」。その第6回となる「瀬戸内国際芸術祭2025」が25年4月18日からスタートする。 2010年の初開催以来、毎回100万人前後の来場者を記録してきた瀬戸内国際芸術祭。「瀬戸内国際芸術祭2025」も、これまで同様、春(4月18日~5月25日)・夏(8月1日~8月31日)・秋(10月3日~11月9日)の3会期(計107日間)にわけて芸術祭を開催。直島、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島、犬島、高松港、宇野港に加え、春会期に瀬戸大橋、夏会期に志度・津田、引田、秋会期に本島、高見島、粟島、伊吹島、宇多津を合わせた計17のエリアが会場となる。なお、宇多津エリア、志度・津田エリア、引田エリアは新たに加わるエリアとなり、また直島では今春開館の 直島新美術館も会場となる。 福武財団名誉理事長で同芸術祭総合プロデューサーを務める福武總一郎は、10月24日に行われた計画発表会において「現代アートには地域を活性化し、高齢者を元気にする力があると信じて芸術祭を続けてきた」とこれまでを振り返るとともに「今後の芸術祭は本当に持続可能な社会を考えるという点でも意義があり、いままで以上に大きな意味を持つ」と意気込みを語った。 また、総合ディレクターの北川フラムは本芸術祭について「海の恵みを受けてきた日本列島とその窓口としての瀬戸内が、世界とつながるために続けてきた」と語るとともに「アジアとの連携も大きなテーマ。美術によって人と人、人と過去をつなげ、断絶の時代における役割を果たしたい」と語った。 現時点で公表されている参加作家・プロジェクト数は81。アーティストとしては、「ヴェネチア・ビエンナーレ2024」の金獅子賞を受賞したサラ・ハドソン(ニュージーランド)、消費社会を照射するヤコブ・ダルグレン(スウェーデン)、月のオブジェを各土地で撮影するレオニート・チシコフ&マリーナ・モスクヴィナ(ロシア)らが参加する。 また、アジア各国からも積極的にアーティストを招聘。テキスタイルと刺繍で歴史を眼差すジャッガイ・シリブート(タイ)、光と空間による没入型インスタレーションをつくるプ・ジヒョン(韓国)、中国語圏で最初のコンテンポラリー・ダンス・カンパニーとして知られる雲門舞集(台湾)らが参加する予定だ。 加えて、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)との共催企画として、ホンマタカシの写真展 を実施。ホンマが難民一人ひとりを撮影したポートレートや彼らの大切なものを記録した作品を展示する。 また、本芸術祭は2013年にバングラデシュ、2016年にタイとの連携プロジェクトを実施しており、今回はベトナムと連携した「ベトナムプロジェクト(仮称)」を実施。夏会期に香川県立ミュージアムで同国の現代美術作品を紹介するとともに、高松港周辺で食、工芸、デザインといったベトナムの文化や芸術を紹介するマーケットを開催する予定だ。 さらに、今回は広域連携事業「瀬戸芸美術館連携プロジェクト」として、会期中に地域の8つの美術館での連携プロジェクトも開催される予定となっている。