「みずほ楽天カード」12月発行 携帯事業赤字の楽天、みずほと連携で金融事業成長目指す
みずほ銀行は14日、楽天カードとの提携カード「みずほ楽天カード」の提供を12月3日に始めると発表した。「楽天経済圏」の中核を担う楽天カードが弱点とする法人向けでみずほの顧客基盤を活用する。携帯電話事業で赤字がかさむ楽天グループは、単独での金融事業の再編を見送り、みずほから新たな資金を調達する道を選んだ。楽天グループと楽天カード、みずほ銀行を傘下に持つみずほフィナンシャルグループ(FG)は13日に資本業務提携を発表していた。 楽天の三木谷浩史会長兼社長は14日の会見で「日本のデジタル支払いは個人消費の40%くらい。欧米は80%を超えている中で、日本はまだまだマーケットは広がっていく。協業の余地も大きい」と自信をみせた。 例えばスマートフォンでネット通販の「楽天市場」にアクセスし、買い物をした場合、支払いは楽天カードで行い、引き落としは楽天銀行から。楽天は生活に必要なサービスの多くを自社で提供することで利用者を囲い込む経済圏を構築し、成長してきた。利用者と楽天の接点になるカードとスマホが経済圏の要だ。 楽天カードは発行枚数3000万枚超で、国内屈指の規模を誇る。一方、個人向け市場は飽和状態に近いとみられ、弱みだった法人向けに活路を見出すしかない。みずほの顧客基盤を利用し、法人契約を拡大する方針で、開拓した中小企業や小売り事業者に楽天市場への出店を促すこともできるなどの経済圏のさらなる拡大も期待できる。 楽天が2020年4月に本格参入した携帯電話事業は当初の想定よりも大きな投資が必要となり、業績の足を引っ張ってきた。不調の携帯事業を金融事業が支える構造が続き、今年6月末時点で金融事業を除いて2兆円規模の有利子負債を抱える。 楽天は、これまで、楽天銀行、楽天証券、楽天カード、楽天損害保険、楽天生命保険など傘下の金融事業を集約する再編を目指してきた。今回、楽天カードがみずほFGからの出資を受け入れることになり、計画を修正した格好だ。みずほとの連携による金融事業の成長に挑む。(高木克聡)