「恵」不正問題から見る障害者支援の現実「今ある生活を崩したくないだけ」母親が選んだ沈黙という決断
こうした介助のほか、利用者の体調や行動に変化があれば、その都度記録しておかなければなりません。介助以外の雑務にも時間を取られます。 「皆さん、寝ています」と職員がデスクについたのは午前3時。この後、朝に向けて事務作業をします。春日井市のグループホームには職員が集まっていますが、ほかの地域では人手不足なのが現状です。
マックビーヒル就労支援機構 代表取締役 小山雅也さん: 「区分が高くなってくると、それなりに人の配置も必要です。区分1や2の方なら(職員)1人でやれるので、時給が仮に3000円なら3000円で済む。ただ区分6になると2人でやるので、人件費が倍になります。現場で実際に働いているスタッフの方の意見は分かりませんが、経営面だけをみると、区分が高いほうが楽になりますね」
「“認識違い”だから」謝意が感じられない恵の担当者
「恵では『誰でも受け入れます』というスタンスでした」と崎本さん。恵本社の担当者に説明を求めたこともありましたが、謝意はなかったといいます。 崎本さん: 「お騒がせして申し訳なかった、とは謝りましたけど。“認識違い”だから、別に悪いことをしていなかった、という感じでしたね。本当に腹立たしい。『恵』さんに居たいわけじゃなくて、今ある生活を崩したくないだけなんです」 障害福祉事業からの事実上の撤退が決まった恵。息子の生活を支えるためには「恵」に頼るしか選択肢がないという母親は、今も「沈黙」を守り続けています。
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