静かな山村がバイクの聖地に、若桜鉄道「隼」駅に全国から2500台集結…スズキ名車と同名
今年4月には、国道29号沿いの「道の駅若桜桜ん坊」(鳥取県若桜町)にライダー向け立ち寄りスポット「さくらオートバイ神社」も建てられ、人気を集める。
若桜鉄道は以前、利用者減で廃線が懸念されたが、近年は観光路線化で黒字を確保。ライダーによる情報発信も沿線活性化に寄与している。「隼駅を守る会」初代会長の西村昭二さん(80)は「地域振興につながればとの思いでやってきた。田舎に活力が生まれ、ありがたい」と話している。
◆ 若桜鉄道= 1930年に開通した鳥取県の旧国鉄若桜線(郡家―若桜、19.2キロ)を県などが出資する第3セクターが引き継いで87年に開業した。駅舎など23施設は国の登録有形文化財に指定され、レトロな雰囲気が残るローカル線として観光客の人気を集める。
バイク人気復活…中高年が先導
隼駅のにぎわいの背景には、バイク人気の復活がある。日本自動車工業会によると、バイクの国内販売はピークだった1982年度の327万台以降は減少し、一時30万台後半に落ち込んだが、2021年度から40万台前半に回復。中高年になって再び乗るようになった「リターンライダー」らが購買をけん引しており、23年度に新車を買ったのは50歳代の32%が最多で、60歳代(28%)、40歳代(16%)が続いた。
10日の並走イベントに参加した兵庫県たつの市の会社員男性(53)もリターンライダーの一人。子育てが落ち着き、5年ほど前から「一人でも遊べる」と、月に2回ぐらい、四国などへ遠出しているという。