阪神の新外国人マルテに掛布氏背番号「31」で賛否
阪神が新外国人として前エンゼルスのジェフリー・マルテ内野手(27)と契約を締結したことを発表した。来季の浮沈の鍵を握る4番候補の決定に阪神ファンは活気づくはずだったが、本人の強い希望で、背番号がミスタータイガース、掛布雅之氏(現オーナー付シニア・エグゼクティブアドバイザー)の代名詞ともいえる「31」に決まったためSNSやネット記事のコメント欄には背番号「31」の賛否を巡っての論争があふれた。 反対意見の多くが「背番号を安売りする球団」「この球団はリスペクトがない」「そんなに簡単につけさせるな」。「複雑」「有望な若手につけさせるのではなかったのか」「掛布本人がOKしたのか」というような内容だった。 現役時代に本塁打タイトルを3度獲得、不動の4番としてチームを引っ張り、1985年の日本一に貢献したミスタータイガースの背番号「31」を未知の新外国人にポンと渡す球団の背番号の伝統や重みを軽視している姿勢や、掛布氏へのリスペクトがない点、ファン感情を無視している部分などを批判しているものだ。 一方、賛成論もあった。 「引退後、萩原誠、広澤克実、濱中おさむ、林威助とつけているのに今さらなんで反対意見が出るの?」「掛布の番号を特別に思っているファンなんてもうオッサンだけ」「マルテが31番に恥じない活躍をすればいい」「背番号31の呪縛を解けばいい」という意見だった。 掛布氏に事情を聞いたが、数日前に球団関係者から、「マルテが31を希望しているのだが、つけさせていいものでしょうか」という打診があり、「背番号は僕のものでもなんでもなく球団のもの。選手がグラウンドでつけて躍動してこその背番号。来季、マルテに4番としてチームを引っ張ってもらえるような活躍を期待しています」と、答えたという。 掛布氏の了承をとった上での「31」の継承だったということだ。背番号を誰に渡すかは球団が決定することで、しかも掛布氏に、きっちりと筋を通しているのだから是非を論じるまでもない話なのか。 背番号には永久欠番と「その背番号にふさわしい選手が出てくるまで空き番にする」という準永久欠番と言われるものがある。現在、日本プロ野球の永久欠番は16個(100やファン象徴番号などを除く)。だが、イチローがつけていたオリックスの「51」のように永久欠番ではないが、実質、空き番とされている準永久欠番がある。ヤクルトの古田敦也氏の「27」も2008年以来、準永久欠番で、球団としての歴史は浅いが、楽天時代に田中将大がつけていた「18」も準永久欠番扱いとなっている。横浜DeNAの三浦大輔の「18」も引退時に「横浜ナンバー」として準永久欠番となることが発表され、今オフの投手コーチ就任と同時に自らが復活させた。 その選手の功績や名誉をリスペクトすると同時にファンの思い入れを考えた上での球団方針だが、一方で、ふさわしい選手につけさせないと、その選手が番号負けしてしまうというネガティブな理由もあるのだろう。