中国の「独裁体制」にいったい何が…「習近平の名前」が党中央政治局と人民解放軍の重要文書から消えた!
共産党中央政治局でも
こうした軍の「習近平排除」と連動しているかのように、党の方でも「習近平独裁打破」だと思われる動きがあった。 10月28日、中国共産党中央政治局は習近平総書記の主宰下で会議を開き、「第三回中央巡回視察に関する総合報告」を審議した。 ここでの「中央巡回視察」とは、党中央から定期的に派遣される要因が各地方で巡回視察を行う制度であるが、毎回、視察が終わった後に、要員たちが「総合報告」をまとめて党中央に提出し、中央政治局がそれを審議するのは慣例となっている。 前述の政治局会議は、3回目の巡回視察総合報告に対する審議であったが、翌日の「人民日報」で掲載された会議の公式発表を読むと、そこにもやはり、前述の軍事委員会文書のそれとは同工異曲の異変が生じていることに気が付く。 その異変とはすなわち、今まで、政治局会議などの党の正式会議で必ず言及される「習近平思想」という言葉が、今回の会議発表から抜けていることである。 それと同時に、「習主席の指導的地位の確立と習近平思想の指導理念としての確立」を意味する「二つの確立」という言葉も姿を消している。それはまさしく、習近平個人独裁体制に大きな綻びが出ていることを示したものである。 その一方、この公式発表においては、個人独裁の否定を意味する「民主的集中制」という言葉も顔を出している。 このようにして、同じ時期に発表された、党中央政治局と中央軍事委員会の公式文書の両方ともが露骨な「習近平排除」を行ったことは大いに注目すべきであろう。もちろんそれは、「習近平失脚」に直結するほどのものではなく、習近平政権が引き続き存続することになるだろうが、問題の核心は、習近平政権の内実にすでに重大な変化が生じてきていることであり、一昨年の党大会で確立された習近平「ワンマン」独裁体制はいよいよ終焉を迎えようとしているわけである。 ……・・ 【つづきを読む】習近平はもうおしまいなのか…中国人民解放軍で「静かなクーデター」!粛清に反抗してとうとう制服組トップが軍を掌握
石 平(評論家)