野村HD部門長、世界レベルのトレーダー確保は最優先-金利高で
(ブルームバーグ): 野村ホールディングス(HD)のホールセール部門長を務めるクリストファー・ウィルコックス氏は15日、日本の金利上昇に伴う収益機会拡大に関連し、「世界レベルのトレーダーやセールスを確保することは最優先事項だ」と述べた。
米国では年後半に利下げに踏み切り、日本銀行はおそらく10月にも金融引き締めを行うとみているという。10年国債利回りは1%を超える可能性があるとも述べた。ブルームバーグテレビジョンに出演し語った。
日銀によるマイナス金利撤廃などを受けて金利取引が活発化する中、ヘッジファンドは相次ぎ円金利に特化したトレーダーを採用している。ウィルコックス氏は人材の出入りが激しくなる中、自身の役割は「優秀な人材がとどまりたいと思うような職場環境をつくることだ」と話した。
また、ウィルコックス氏は成長のための投資方法を厳格化する中、ホールセール部門では内部留保を充てていく方針を示した。
同氏は「今後5-7年間で全事業に投下される資本の割合として、ホールセール部門がさらに高い割合となることはないだろう」と指摘。全社的に資本の使い方を「非常に慎重に考えていく」と説明した。
同部門の経費率の高さはここ数年、同社の経営課題となっており、部門内で財務リソースの再配分を行うことで資産運用や銀行業務などの成長分野に経営資源をより振り向ける方針だ。
野村HDは14日、投資家向けの経営戦略説明会で、2031年3月期に税前利益5000億円超と前期(24年3月期)実績比でほぼ倍増に引き上げる目標を示した。ホールセール部門の今期目標は1300億円。前期実績は539億円だった。
ウィルコックス氏は「ホールセール部門が収益性を高め、より利益率が高く、よりリソースを必要としないビジネスに集中できるようなインセンティブ構造を構築する」とした上で、「これらの事業への投資をやめるという意味ではない」と述べた。
一方、日本経済に勢いがある上、グローバルな投資家はまだ日本市場を「アンダーウエート」しているとして、日本市場への投資は今後も増えると説明。為替市場について「円高にならない理由はない」とし、日米の金利差は縮小し、中期的に1ドル=140円台になるとの見方を維持した。