安倍元首相が「悪夢」と嘆いた政局へ突入…石破自民「来年夏の参院選」大敗は必然、その時何が起こるのか
連立政権か、部分連合か…
11月7日に招集される特別国会で首班指名が行われるが、自公だけでは過半数の議席を持たないので、何が起こるかわからない。自民党の石破と立憲民主党の野田の決選投票となる可能性がある。そのときは、政党間の合従連衡で、結果がどうなるかは分からない。 特別国会は、総選挙の日から30日以内に召集されることになっている。これから水面下の交渉が行われるであろうが、それで一定の妥協が成立するまでは、特別国会は開かれないであろう。 首相指名で石破が首相になっても、さらに、その後は、国会で法案が成立しないという難題を抱えることになる。 2007年夏の参議院選で自民党は惨敗した。その直後に安倍政権の厚労大臣となったが、衆議院は自民党・公明党、参議院は民主党が過半数を制する「ねじれ国会」となってしまった。したがって、衆議院で法案が通っても、参議院では拒否されるという事態になった。閣僚として大変苦労したが、今回も石破政権は同じような苦境に立たされることになる。 まさに悪夢の再現であるが、そのような事態を避けるためには、まずは、自民党非公認で当選した議員や無党派議員を自民党に入党させることによって、自民党の議席数を増やす方法がある。 しかし、それでも、自公で過半数を制するには18議席必要で、それだけの数には到達しないであろう。 そこで、国民民主党や維新などを連立政権に取り込むという手がある。しかし、そのためには政策の一致が必要であり、今の段階では容易ではないだろう。もし、それができれば、安定した連立政権となる。 もう一つは政策ごとに、賛成する党派を取り込む「部分連合」という方法もある。これは、連立政権ほどの安定性はないが、少数与党という事態を乗り切るには、この方法しかない。
選挙に勝つためなら何でもする
今回の選挙結果を受けて、小泉進次郎選対委員長が辞任した。森山裕幹事長や石破総裁の責任が問われるのは当然である。とくに、苦杯をなめた旧安倍派では、岸田、石破政権に対する怨念がある。 石破のライバルである高市早苗は、多くの同志を失い、数の上では勢いを殺がれたが、反石破感情を抱く議員たちの期待を集めることになる。 全ては、石破首相のこれからの政治運営によるが、国会がデッドロックに乗り上げるようなことになれば、退陣論が噴出するのは必然である。とくに、来年度予算案を成立させるだけの多数派の形成に失敗すれば、もう救いようがない。 来年夏には参議院選挙がある。私の脳裏をかすめるのは、2007年の参議院選挙、そして2009年の総選挙での政権交代である。 来年の参院選で大敗し、参議院まで与党が多数派を維持できなくなると、もはや国会は機能しなくなる。先述したように、その「ねじれ国会」を乗り切るのは容易ではなかった。 2025年の参議院選の次の総選挙では、政権交代になるという可能性が現実味を帯びてくる。したがって、何としても、自民党は来年の参議院選挙で負けるわけにはいかないのである。 トップが石破なら、選挙は勝てないということになれば、石破は退陣せざるをえないであろう。選挙に勝つためなら何でもするのが自民党である。