ソ連崩壊後、政党ではなく「TV討論会で大統領を選ぶ」ようになったアメリカ国民
大した成果ながらも中途半端な評価
「軍拡と財政改革を両立させた為政者は古来稀」です。 にもかかわらず、クリントンは「覇権国家」としての責務を全うし、各地に軍を送り込みながら、財政収支を黒字化させることに成功したのですから、なかなか大した成果を挙げていると評価してあげたいところです。 しかしながら、努力は認めるとしてその成果を見ると、どれも"中途半端"の感は否めません。たとえば、「パレスティナ暫定自治協定」は生まれましたが、その後の和平交渉は頓挫しましたし、ユーゴ問題では調停がうまくいかず、ついに軍事介入に至って中露の反発を受けましたし、アフリカ内戦の鎮圧、北朝鮮の核開発の抑止にも尽力したもののことごとく失敗しています。 彼が重視した財政問題についても、たしかに「財政赤字」は解消しましたが、「貿易赤字」は解決できませんでした。 こうしてクリントン大統領は「中途半端」と評価されながら2期8年の任期を終え、つぎの大統領選挙では共和党から指名を受けたジョージ・ウォーカー・ブッシュ(子)が民主党から政権を奪取することになりました。
神野正史(元河合塾世界史講師)