相変わらず投票率が低かった第50回衆議院選挙…米大統領選に学ぶ、テレビ討論会で使われている「選挙が盛り上がる」ための一枚のカードとは?
10月27日(日)に投開票された第50回衆議院選挙は裏金事件の影響を受けた自民党が大敗し、2009年以来の自公過半数割れという展開に。投票率は53.85%と戦後で3番目に低い数字でした。国外では11月5日にアメリカ大統領選を控えていますが、「ソフトバンク」孫正義氏の元右腕で、英語コーチング・スクールを営む三木雄信氏によると、大統領選のテレビ討論会では“あるカード”を片手に国民が盛り上がるそうです。日本国民の政治参加にも参考になりそうな仕掛けについて解説します。 「日本」「中国」「韓国」の合計特殊出生率の推移…1990年~2020年
衆議院選挙の結果は10月9日に決まった!?
10月27日(日)に投開票された第50回衆議院選挙では、自民党と公明党が合わせて215議席にとどまり、過半数を割りました。一方で、立憲民主党が148議席を獲得したことに加えて、国民民主党は28議席を獲得し大躍進しました。 この結果、与党は少数与党となり、連立再編や政権交代の可能性さえある政局となっています。 私が、今回の選挙では注目していたのは、10月9日(水)に行われた自民党の石破茂首相と野党4党の党首間で行われた党首討論でした。石破首相の就任が10月1日(火)で、衆議議院選挙の公示の10月15日でしたから、大変慌ただしいスケジュールの中で行われた討論会だったと思います。 この討論会は、「政治とカネ」が最大のテーマとなっていたことは言うまでもなくありません。それに加えて石破首相の自民党総裁選での主張と首相になってからの発言や党内での対応が「変節」しているというものでした。 私は、この討論会での流れがその後の衆議院議員選挙の趨勢(すうせい)を決定づけ、今回の与党過半数割れという結果的に繋がったと思います。
候補者討論会が当選のカギとなるアメリカ大統領選
2024年のアメリカ大統領選挙は11月5日(火)に投票が行われる予定になっています。共和党のドナルド・トランプ前大統領と民主党のカマラ・ハリス副大統領の対決となっていますが、現時点での世論調査では、激戦州で接戦が続いています。選挙の行方は予測が難しい状況です。 そうした中で大きなターニングポイントになったのが、2024年11月の米国大統領選挙に向けて、2024年9月10日(火)にペンシルベニア州フィラデルフィアでトランプ前大統領とハリス副大統領が直接対決した討論会です。テレビとオンラインで生中継されました。 調査会社ニールセンよると、このテレビ討論会はオンラインを除くテレビ視聴者数のみで6,710万人となり大変な盛り上がりとなりました。この討論会について、討論会後のCNNの世論調査では、63%がハリス副大統領が優勢、37%がトランプ前大統領が優勢と回答した報道され、ハリス副大統領がトランプ前大統領と十分渡り合える候補であることが印象づけられることになりました。 そもそもハリス副大統領が大統領候補になったのはこの討論会より前に行われたバイデン大統領とトランプ前大統領のテレビ討論会で、あまりにバイデン大統領が冴えなかったことがありました。結果、ハリス副大統領に民主党の候補が変わったのでした。このように、アメリカ大統領選では候補者のテレビ討論会が非常に重要なのです。