学生服や体操服になぜ名前を入れるの? リユース店が考えたこと
地域の循環が生まれる
コロナ禍や物価高と、子育て家庭に厳しい状況が続く中、池上さんがリユースショップを運営して5年。どんなところが、やりがいなのだろうか。 「生活していて、ありがとうございますって言われることってそんなにないですね。この仕事は、常にその言葉を浴びている。 あとはここを通じて、地域活動ができることが、嬉しい。生理の貧困の支援活動もしています。お店を立ち上げて、お客さんがいなかった頃、テレビで生理の貧困のニュースを見て。大学生がコロナでバイトがなくて、生理用品で困っているなら、女性が動いた方がいい。生理用品を買って店で用意していたんですよ。 こういう活動を始めましたってSNSに上げたら、皆さんがさくらやに持ってきてくださるんです。病気などで生理がひどい人って、1ヵ月に1箱ぐらいの勢いで使う。それが治ってストックが倉庫の中にあり、10箱ぐらい持ってきてくださった。あるおじいちゃんは、自分はお金を使うところもないから、せめて地域の役に立ちたいと思ったんだけど、何をすればいいかわからない、テレビで見たから使ってほしいって寄付してくれました」 このように、リユースショップを通して、地域の中で自然にネットワークが広がった。 「リユースショップがなくなっても、悩まないで生活できる社会になればいい。でも、使えるものを再利用するのは大事だと思う。コロナ禍で、制服はいらなくなるなと思った。学校に行かなくて済むようになる、オンラインで物事が進むようになるからと。結局、制服って、画一的な昔の教育の一部です。 でも、手をかけた制服の良さはわかります。制服の下に着るワイシャツとかブラウスとか、プライベートブランドで買う方は多くて、買取をしたときに、触ってわかる。制服メーカーさんのシャツは高いんですよ。5000円のものもあって、スーパーで買えば1980円ですが、質が違う。いいものであったら、長くもつ。昔からの技術で作られた制服の良さは、もちろんある。それが買えない人はリユースで。選択の自由が、必要だと思います」
なかの かおり(ジャーナリスト)