中国、2050年までの宇宙科学ロードマップを発表–金星の大気サンプルリターンも予定
中国は金星の大気のサンプルを採取するミッションを含む、2050年までの宇宙科学計画に関する長期ロードマップを10月15日に発表した。中国科学院(CAS)、中国国家航天局(CNSA)、中国有人宇宙プログラム室(CMSEO)が共同で発表した。 発表されたロードマップ「国家宇宙科学中長期発展計画(2024年~2050年)」は(1)~2027年、(2)2028~2035年、(3)2036~2050年――の3段階で構成されている。 (1)~2027年では、ダークマターや重力波、系外惑星、太陽活動、太陽系と地球系の探査など画期的な成果が期待される2~3件の大型ミッションを含む5~8件の宇宙科学ミッションの設置を検証するという。 (2)2028~2035年では、木星や天王星を探査する「天問4号」ミッション、太陽系境界探査、国際月研究ステーション(ILRS)、そして金星大気のサンプルリターンミッションを予定している。金星探査の詳細は明かされていないが、「VOICE」と名付けられた金星探査機が提案されている。 (3)2036~2050年では、中国は「重要な分野で国際的な主導権を握り、宇宙科学における世界的な強者になる」と明記。「宇宙の起源の進化、空間と時間の本質、太陽系と生命の起源、有人深宇宙探査などの基礎研究で画期的なブレークスルーを成し遂げる」としている。 海外メディアのSpaceNewsによると、CAS傘下の国家宇宙科学センター(NSSC)で所長を務める王赤(Wang Chi)氏は記者会見で「我々は宇宙科学におけるさまざまな形の国際協力と交流をさらに推進し、宇宙科学技術の成果が人類にさらに良い利益をもたらすようにする」と述べている。
塚本直樹