復活50周年 神余地区伝統の「かっこ舞」に喝采 館山の日吉神社(千葉県)
館山市神余の日吉神社で20日、豊作や雨乞いを祈願する「かっこ舞(まい)」が奉納された。江戸時代に起源がある伝統の獅子舞だが、舞い手の若者が戦争に動員されるなどで何度か中断を余儀なくされた。今年は復活50周年の節目。地元の若者たちの息の合った動きに、境内に集まった約100人から大きな拍手が湧き起こった。 神余のかっこ舞は、五穀豊穣(ほうじょう)を祈願する、約250年前から伝わる伝統芸能。獅子頭をかぶった3人の男子が、腰に着けた太鼓(かっこ)を打ち鳴らして踊り、4人の女子が雨を表す7色の紙を垂らした花笠をかぶり、カエルの鳴き声や風で揺れる竹の音を表す「ササラ」を鳴らす。 担い手不足などでこれまで幾度となく中断されてきたが、1974年に地元の高校生が復活させ、青年以上でつくる保存会の指導によって途絶えさせることなく現在まで継承されている。96年には市の無形民俗文化財に指定された。 この日、境内には多くの見物客が訪れた。太鼓と笛の音が鳴り響く中、獅子役とササラ役の若者が登場。獅子役は笛の音色に合わせて、腰の太鼓を鳴らしながら獅子頭を振り回す荒々しい舞いを披露した。熱のこもった演舞に、来場者らはカメラを向けたり、歓声を響かせたりしていた。 獅子役を演じた加藤樹さん(21)は「50年の節目に神社で奉納する機会をいただけてうれしかった。後半は暑さで記憶がなくなるくらいつらかったけど何とかやり切ることができた」と話した。 10年ほど前に同地区に移住してきたという60代男性は「激しい獅子の舞いは見応えがあり立派な踊りだった。また来年も見に来ようと思う」と感激していた。