「3度目の正直」なるか 台東区が世界遺産登録を目指す国立西洋美術館
政府は1月15日、福岡県の古代遺跡「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」を世界遺産に推薦することを閣議で了解しました。早ければ、来年2017年の夏に世界遺産に認定される可能性があります。日本からは、2013年に富士山(文化遺産)、2014年には富岡製糸場(同)、2015年には明治日本の産業革命遺産(同)と、3年連続で世界遺産が輩出されています。「沖ノ島と関連遺産群」への期待は高まりますが、実は今年も、日本国内にある文化遺産が世界遺産に認定されるかもしれないのです。 【図】「富士山」登録で注目、あらためて世界遺産とは
仏などと共同で「ル・コルビュジエ作品群」
現在、日本政府が暫定リストに記載している文化遺産は「沖ノ島と関連遺産群」を含めて10件あります。世界遺産に認定されるには、まず暫定リストに記載されなければなりません。そういう意味で、暫定リスト入りしている遺産は、世界遺産の有力候補といえます。 10件のうち、特に異彩を放っているのが東京都台東区にある国立西洋美術館です。推薦名称は「ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献」で、この構成資産に同館も含まれます。
ル・コルビュジエは、主にフランスで活躍した世界的な建築家で、フランク・ロイド・ライトやミース・ファン・デル・ローエとともに、20世紀を代表する近代建築の三大巨匠の一人と称されています。機能的デザインの「サヴォワ邸」や「ロンシャンの礼拝堂」をはじめとする数々の有名建築を残し、日本では、この国立西洋美術館の基本設計を手がけました。 今回、世界遺産登録を目指す建築作品は、日本国内にとどまりません。フランスをはじめ、母国のスイス、さらにはドイツ、ベルギー、アルゼンチンなど6か国22資産にも及びました。なぜ、複数の国と一緒に世界遺産を目指すことになったのでしょうか? 「2007年、フランス政府から日本政府に『ル・コルビュジエの建築作品の世界遺産登録を目指したいので、国立西洋美術館も構成資産に加えたい』という共同推薦の依頼がありました。日本政府はすぐに快諾し、東京都と国立西洋美術館の立地自治体である台東区も世界遺産登録を目指すことになったのです」(台東区世界遺産登録推進室)