サイバーパンクADV『ネオン ブラッド』優れたアートや世界観の一方、ゲームのテンポを妨げる要素や不具合が気になる□もったいなさ□の残る一作【特集】
さらに、インプラントの修理を請け負ってくれた怪しげな技術者・リッパーは初対面のはずなのですが、なぜかその店からは過去の自分の痕跡が見つかります。多くの謎を抱えたまま、やがてロビンとの出会い、新たな事件へと物語は進展していきます。
捜査や戦闘にインプラントが活躍
作中でアクセルは、修理したインプラントを事件の捜査に活用します。代表的なのがスキャナー機能で、現場の怪しい場所を光らせたり、足跡を追跡したり、隠されたメッセージを探すことが主な役割となります。
また、捜査中に戦闘に巻き込まれることもあり、ここでもインプラントに搭載された機能が活躍してくれます。戦闘はコマンド式で、攻撃はダイス判定によってダメージ値が決定します。インプラントを使ったスキルでは、確定クリティカルの「ヘッドショット」などのアクションが可能です。
戦闘では攻撃やスキルのほか、ガードやアイテムなどのコマンド使用可能です。アイテムはターンで解放される形式で、敵の攻撃成功率を下げたりスタン効果を持つものもあります。また、物語が進めばアクセルの機能が強化され、基礎能力アップや新たにスキルを獲得できます。
ただし、この戦闘自体はあまり面白いものではなく、消費コスト無しのスキルを連発するだけになってしまいがちです。大ダメージの「ヘッドショット」と、強敵相手なら定期的に回復スキルを繰り返すだけで勝利を狙えます。負けるときは相手のダメージ値判定が大きい時くらいで、ほぼ戦略性はありません。せっかくのアイテムなども微妙に使いづらく、選択肢が多いのに使う理由がないのはもったいなく感じます。
世界観は魅力的だが気になる部分が多い
物語の舞台となるヴィリディスは、そこかしこにネオンが溢れる街で、お約束のように日本語看板も多いサイバーパンクな世界を作り上げています。そこに住んでいる人々は一癖も二癖もあり、刑事であるアクセルを含めて薬物が蔓延しているなど、実に魅力的で影の多い描写が行われています。
物語が進むことで、警察署長のジョーやニルクコープ社長のルビー、ボクサー崩れのシルバー、そしてアクセルと深い縁があるロビンなど、多くの人物の真実と、その裏にあるひとつのストーリーが明らかになっていきます。発展とともに見捨てられた地区など、色々な場面で陰と陽の対比も描かれています。