草彅 剛「最終的には、自分自身がいい味のヴィンテージになりたいと思ってます」
アイドルとして一時代を築いた後、今や日本のドラマや映画に欠かせない俳優として高く評価される草彅 剛さん。奇しくも同じ年齢という白石和彌監督が初めて手掛ける時代劇映画『碁盤斬り』で主人公・柳田格之進を演じます。草彅さんにとって俳優とは、仕事の喜びとは? じっくり話を伺いました。 大人の“カッコいい”を取り戻せ Vol.07
ジーンズやブーツ、ギターなど、ヴィンテージものをこよなく愛し、20歳の頃から集め始めたヴィンテージデニムは100本を超えるという草彅 剛さん。使い込まれることで滲む味と、積み重ねた歳月を思わせる重厚感に、10代の頃から惹かれてきたと言います。 そんな草彅さんが、古典落語の演目をもとにした主演映画『碁盤斬り』(白石和彌監督作品)で演じるのは、冤罪事件によって藩を追われ、妻をも亡くし、娘とつましい生活を送る浪人・柳田格之進。寡黙さの中に激しさを秘め、大切な人のため、やがて復讐に立ち上がる役どころです。 目に宿る光とわずかな表情の変化で感情の機微を表し、言葉にしがたい感情を、言葉以上の説得力で伝える草彅さん。その顔つきは、どのようにして生まれるのでしょうか。長いキャリアを通してつかんだ独自の役作りと、自身が目指す“男の顔”について話を伺いました。
ただ単に枯れて年老いていくのはつまらないけれど
── 映画のメインビジュアルになっている、無精ひげを生やし、凛々しくも哀愁漂う格之進の横顔は、哀切の中にも強靭な覚悟が感じられ、とてもインパクトがあります。 草彅 剛さん(以下、草彅) そう! 映画を見てたら格之進がカッコ良すぎて、「え、これホントに俺なの!?」と思うカットがたくさんあってびっくりしました(笑)。僕の今までの作品の中で、今回の役が一番カッコいいと思います。でもそれは僕1人の力じゃなくて、メイクさんや照明、カメラさんをはじめ、すべてのスタッフがプロの技で作り上げてくれたおかげなんですけど。 ただ、画面に映る自分の仕事としては、やっぱりそういう説得力を持った顔や、この男には何かあるんじゃないか? と思わせる表情が出てこないといけないわけで。そこは自分にかかってくる責任だと思ってます。 ── 演じ手にとって顔は商売道具だと思いますが、仕事以外で普段、ご自分の顔を見ますか? 草彅 前はまったく見なかったけど、1年ぐらい前から、(稲垣)吾郎さんの影響で、毎朝、鏡を見るようになりました。 吾郎さんは僕より1つ年上なんだけど、肌がすごく綺麗。「吾郎さん、何かやってるの?」って訊いたら、「やってる。今度持ってきてあげるよ」と言って、いい化粧水と乳液をくださったの。それを1年ぐらい使ってたら、肌の調子がいい気がして(笑)。 やっぱり、肌もどうしても老化していくわけだけど、どうせなら、いい感じに老化していきたいじゃないですか。だから、前はスキンケアにも全然興味がなかったけど、今は朝、鏡を見ながら保湿をしてます。 そしたら、朝の顔って毎日違うんだよね。それはなぜ違うかというと、前の日の生活が違うからで。前の日に、昼間外に出た次の日は、紫外線に当たったぶん、いつもより肌が乾燥してる。肌のコンディションの違いがわかってくると、結構面白いんです(笑)。