東海道線や小田急よりも先「日本で4番目」の電気鉄道、実は小田原にあった 自前で発電所も建設
市民会館前で、国府津方面から来る国道1号線と合流するが、1920年12月に国府津―小田原間が廃止される以前は、国府津駅前から酒匂川を越え、この国道上を路面電車が走ってきていた。 市民会館の少し先に幸町バス停がある。ここには、かつて小田原電鉄の本社と車庫があった。また、単線だったため交換(すれ違い)場所も設けられていた。ちなみに、小田原駅前―箱根板橋間において、交換場所は幸町のほか、早川口にもあった。
本社前を過ぎ、本町交差点で直角に右折すると、箱根連山が正面の視界に入る。この付近は停留場の間隔がきわめて短く、わずか300ⅿほどの間に「小伊勢屋前」「御幸(みゆき)浜」「幸三丁目」「箱根口」と、4つもの停留場が設けられていた。 箱根口の道路右手には、まるで城のような建物が見える。神奈川県下で最古の商家とされ、製薬・製菓業を営む「ういろう」本店の八棟(やつむね)造りである。店内には路面電車のジオラマが展示されているので、ぜひ立ち寄ってみてほしい。
森川 天喜 :旅行・鉄道作家、ジャーナリスト