台風で自宅周辺が「水没」して出勤できませんでした。私の職場は“欠勤扱い”でしたが、近所の友人は「特別休暇」になったそうです。給与が出るのはどんな場合なのでしょうか…?
近年は大型の台風が日本各地を襲っています。例えば、2024年は8月に台風10号(サンサン)が各地に大きな被害をもたらしました。 会社員の場合、台風によって道路が水没したり公共交通機関がストップしたりして、通勤できないことが考えられます。反対に、会社側の判断で休みになることもあるでしょう。 気になるのは、「台風で会社が休みになっても給与を受け取れるのか」ということです。 本記事では台風などの自然災害で会社を休んだ場合、会社の判断で休みになった場合に給与を受け取れるのか、考え方の基本を紹介します。 ▼有給休暇の取得に会社の許可は絶対に必要?「繁忙期」でも取得できるの?
台風などの自然災害時に特別休暇になるかは会社の判断による
会社によっては、台風をはじめとした災害が発生したときに特別休暇になり、通常の勤務分の賃金を支払ってくれることがあります。 ただ、上記の対応は法律で定められているわけではなく、会社は台風だからといって必ずしも労働者に特別休暇を与える義務はありません。 給与支払いの基本的な考え方は「ノーワーク・ノーペイ」です。民法では「労働者は、その約した労働を終わった後でなければ、報酬を請求することができない」と定められており、働いていないなら賃金の支払いを請求できないのが基本的な考え方です。仮に休業したとしても、会社に責任がない事情による休業で仕事をしない場合は、給料を受け取れません。
会社が賃金を支払う必要がないケース
ここでは、台風の影響で労働者が会社に出勤できなかった場合や、会社が休業になった場合に、会社から労働者に給与を支払う必要がないケースを紹介します。 ■交通機関がストップすることで出勤ができない場合 台風の影響で多くの会社員に影響があるのが、公共交通機関が止まってしまうことでしょう。通勤に利用できる公共交通機関が全てストップすると、ほとんどの場合は通勤することが不可能になります。 この場合、労働者が働けない責任は会社に帰属するわけではありません。労働基準法26条の休業手当の支給要件である「使用者の責めに帰すべき理由」が存在しないため、給与は受け取れないと考えられます。 ■出勤できるが労働者の判断で出勤しない場合 台風の被害が出ていても、公共交通機関が止まっておらず出勤が可能だったが、労働者が身の安全を確保するために自分の判断で出勤しないケースもあるでしょう。この場合も会社に責任があるとはいえず、会社が労働者に給与を支払う義務はありません。 ■台風による不可抗力で休業する場合 台風による暴風雨や災害によって、会社の施設や機械設備に被害を受けたり停電したりして業務ができず、会社を休業にすることもあるでしょう。このように、台風などの自然災害による不可抗力が原因で休業する場合、会社は従業員に賃金を支払う義務がありません。