やっぱりそうか!素人が「絶品すき焼き」を作るたった1つのポイント、年末年始の「新定番」をトマトでアレンジ
料理の腕を上げるために、まず作れるようになっておきたいのが、飽きのこない定番料理です。料理初心者でも無理なくおいしく作れる方法を、作家で料理家でもある樋口直哉さんが紹介する『樋口直哉の「シン・定番ごはん」』。今回は年末年始の鍋料理として定番化しつつある「すき焼き」。トマトを使った新定番をご紹介します。 【この記事の他の画像を見る】 ■和牛の長所と弱点は脂肪の多さ 年末年始は家で「すき焼き」という家庭も多いようです。かつて大晦日にすき焼きを食べる習慣は東海地方独特のものでしたが、全国で定番化しつつあるようです。すき焼きをおいしく作るポイントはなんでしょうか。
その答えは「肉選び」にあります。そもそもすき焼きは和牛肉をおいしく食べるために発達した料理なので、和牛がもっとも適しています。 和牛の長所であり、弱点は脂肪の多さ。脂肪交雑=赤身のなかに細かい脂肪(サシと言います)が入るので、加熱してもやわらかさが保たれ、とろけるようなテクスチャーが生まれます。 弱点は「脂肪が多いのでたくさんは食べられない」という部分。よく「年をとったから和牛のステーキや焼肉は食べられない」という声がありますが、和牛はもともとステーキや焼肉でたくさんの量を食べる食材ではなく、すき焼きやしゃぶしゃぶで少量をおいしく味わうもの。
■和牛特有の香りがおいしさのもと その理由はラクトンという香り成分を中心にした<和牛香>という甘い香りにあります。和牛には特有の香りが含まれ、それがおいしさのもとなのですが、この和牛香は80℃で最も多く生成され、100℃以上で加熱すると揮発してしまいます。つまり、高温で焼く料理は向いていないのです。 とはいえ、昔ながらのすき焼きは砂糖をたっぷり使った甘い味付けが特徴。現代の感覚では甘すぎて、牛肉の味わいを覆ってしまうので、今回は砂糖を使わず、代わりにさっぱりとした甘さが特徴のみりんを使います。また、トマトを入れることで酸味が加わりさらにさっぱりと食べられるでしょう。