第2次トランプ政権の始動に急ブレーキも、共和党は薄氷の下院支配に
(ブルームバーグ): トランプ次期米大統領が目指す就任最初の100日間における法制化ダッシュに暗雲が立ちこめてきた。最後の結果確定となったカリフォルニア州の下院選議席は民主党候補の勝利が確定したほか、トランプ氏が次期政権の主要ポストに自身に忠実な下院議員を抜擢したことで、11月の選挙で過半数議席を維持した共和党のリードが僅差まで縮まるためだ。
これに伴い、政権入りで生じた空席を埋める補欠選挙が行われる少なくとも4月まで、共和党内から1人でも造反者が出れば、トランプ氏が目指す政策が一時的にとん挫する可能性が出てきた。
新下院議会(定数435)の構成は共和が220対215で多数派を占める。共和党が民主党に対して握るリードは、すでに立法化に苦戦している現在の下院勢力図よりも小さい。
トランプ氏は大統領補佐官(国家安全保障担当)にマイク・ウォルツ下院議員(フロリダ州)を指名。同氏はトランプ氏が大統領に就任する来年1月20日に議員を辞職する考えを示している。トランプ氏が司法長官に指名し、その後指名を辞退したマット・ゲーツ元下院議員(フロリダ州)は、1月3日から始まる新議会にも戻らない意向を示した。
両氏の議席は4月1日に予定されている補欠選挙後まで空白のままだ。
トランプ氏はまた、エリス・ステファニク下院議員(ニューヨーク州)を国連大使に指名した。ニューヨーク州の補欠選は、ステファニク氏が議員を辞職してから90日以内に実施されなければならない。
ステファニク氏の上院での人事承認手続きや議員辞職の時期にもよるが、ジョンソン下院議長と共和党にとっては、11月の選挙で獲得した3議席が同時に空席となり、217対215というさらに僅差の状況に直面する可能性がある。
そのシナリオでは、共和党から1人でも反対に回れば、216対216の同数となり、法案は否決されることになる。そうなれば、トランプ氏がジョンソン議長とともに目指している就任最初の100日間での野心的な立法課題の実現は遠のく。ステファニク氏が議員を辞職する前の段階でも、身内から2人の造反者が出れば、共和党のみが支持する法案は通らない可能性がある。