年金定期便には書かれていない…「年下の配偶者がいる人」が受け取れる「加給年金」とはなにか?【CFPが助言】
私たちの定年後の生活を支える公的年金。少しでもお得に受け取るには、どうしたらいいのでしょうか。ここでは、加給年金について見ていきます。本連載は、ファイナンシャルプランナーの福地健氏監修の書籍『いちからわかる!定年前後のお金と手続き 得する働き方・暮らし方ガイド 2024-2025年最新版』(インプレス)より一部を抜粋・再編集したものです。 年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
扶養手当のような手続き必須の年金制度
厚生年金には、扶養家族がいる人のための扶養手当のような制度「加給年金」があります。加給年金を受け取るためには、(1)厚生年金の加入期間が20年以上あること、(2)生計を維持されている65歳未満の配偶者、または一定年齢以下の子どもがいることが条件となります。これらの条件を満たせば、65歳の年金受給開始から、老齢厚生年金に上乗せされて受け取ることができます。 加給年金の金額は、扶養している家族が配偶者の場合は、年額23万4800円です。さらに、1943年4月2日以後に生まれた年金受給者であれば、17万3300円の「特別加算」を受けられます。 なお、「加給年金」を受け取るためには、年金事務所または、年金相談センターへ申請の必要があります。加給年金を受け取れるかについては、ねんきん定期便に記載がないので、自分が対象となるのかを理解しておき、年金請求の手続きのときに申請するようにしましょう。 [図表1]「加給年金」を受け取るための条件 * 特別加算額は、老齢厚生年金を受けている人の生年月日によって異なる。1943年4月2日以降生まれは17万3300円
配偶者が65歳になると振替加算に切り替わる
加給年金は、対象である配偶者(今回は妻)が65歳になると、支給停止となります。このとき、妻が1966年4月1日以前の生まれの場合には、妻自身の老齢基礎年金に「振替加算」が上乗せされます。振替加算の金額は年齢によって異なるので、下コラムを参考に確認しましょう。 年金請求時にお互い基礎年金番号を記入していれば、原則、妻が65歳到達時に自動で振替加算に切り替わります。 ※ 老齢厚生年金は千円未満切り捨て * 老齢厚生年金の受給開始年齢引上げに伴い、60~64歳までの間に特別支給される老齢厚生年金。男性は1961年4月1日以前、女性は1966年4月1日以前生まれの場合、支給対象
「振替加算」を受け取れる人は限られている
振替加算を受け取れる人には条件があります。対象となるのは1966年4月1日以前の生まれの人で、それ以降に生まれた人には支給されません。支給額は、配偶者の生年月日によって異なります。 福地 健 ファイナンシャル・プランナー 社会保険労務士事務所 あおぞらコンサルティング顧問 (株)近代セールス社前代表取締役社長 CFP®(日本FP協会元理事)
福地 健