衝撃TKOで再戦勝ったフューリーの次戦はどうなる?3度目ワイルダーか?4団体統一戦のジョシュアか?
ボクシングのWBC世界ヘビー級タイトルマッチが22日(日本時間23日)、米国ラスベガスのMGMグランド・ガーデン・アリーナで行われ、挑戦者の元3団体統一王者のタイソン・フューリー(31、英国)が、王者のデオンテイ・ワイルダー(34、米国)を7回1分39秒TKOで下して新王者に輝いた。約8キロを増量、得意のフットワークを使わずに左ジャブを軸に積極的に前に出る新スタイルで挑んだフューリーは3回に右ストレートでダウンを奪うと5回にもボディで2度目のダウン奪い圧倒。7回、ワイルダー陣営がタオルを投入した。両者は、2018年12月1日に対戦したが、引き分けで、この試合は”世紀の再戦”として注目を浴びていた。ワイルダーには、この試合のファイトマネーの取り分を40%に減らすことを条件に3度目の対戦を要求する権利があるが、早くも3度目の再戦、或いは、3団体統一王者、アンソニー・ジョシュア(30、英国)との4団体統一戦に向かうのか、とフューリーの次戦を巡って海外メディアの見解も意見が分かれている。
フューリーはワイルダーとの3度目対戦を確信
衝撃の結末だった。 引き分けに終わった2018年12月の初戦では。ヒット&ムーブのアウトボクシングでポイントアウトを重ねたフューリーが強打のワイルダーに対して1ラウンドからプレッシャーをかけて前へ出たのだ。昨年12月にトレーナーをベン・デービソンからデトロイト「クロンクジム」のジャバン・ヒルに変更した。ヒルは、名トレーナー、エマヌエル・スチュワードの甥で、「クロンクジム」では、L字ガードからのフリッカージャブを軸にした攻撃的スタイルを教え、”ヒットマン”トーマス・ハーンズらが体現したスタイルは、「デトロイトスタイル」、「クロンクスタイル」と呼ばれた。 約8キロの増量でワイルダーとの体重差を約19キロにしていたフューリーは、まさにその「クロンクスタイル」で、右に驚異的な破壊力を誇るワイルダーを下がらせ、3回にワンツーでダウンを奪い、左耳から流血させ、5回にも左ボディで2度目のダウン。もう足元もおぼつかずふらふらの王者を7回、コーナーに追いつめ右のストレートを浴びせると、ワイルダーのセコンドのマーク・ブリ―ランドトレーナーがタオルを投入。レフェリーが割って入りフューリーのTKO勝利を宣告した。 「キングが復活した!素晴らしいビッグマッチだったろう?」 リング上で叫んだフューリーはアカペラで「アメリカン・パイ」という曲をフルコーラスで歌い切った。 さて注目は、王者に返り咲いたフューリーの次戦である。海外メディアの見解も真っ二つに分かれた。 英国のガーディアン紙は、「フューリーは、ジョシュアとの4団体統一戦よりも、ワイルダーとの3度目の対戦をすることを『ほぼ確信している』と話している」とし、「フューリーVSワイルダー3」の可能性について言及した。 記事は「土曜日の大型リマッチの契約は。フューリーとワイルダーは2500万ドル(約28億円)の最低保証に加えてペイパービューの収益を50対50で折半する内容だった。ただ、この契約には再戦条項も含まれ、ワイルダー側は、今回のペイパービュー収益を40対60に減らすことで、3度目の対戦オプションを30日以内に施行することができる」と紹介。「ラスベガスのストリップ通りに沿って建設中の新たな7万2000席のNFLスタジアムに立ったフューリーは、ワイルダーとの3度目の対戦が次戦になることに自信を見せた」と続けた。 現在、ラスベガスにはNFL「ラスベガス・レイダース」の新本拠地として7万2000人収容の巨大な屋内ドーム「アレジアント・スタジアム」が建設されており8月に完成予定。フューリーはワイルダーとの因縁ラバーマッチを、そこで行うプランを抱いているのだ。