北欧フィンランドのファーストレディー、実は日本で先生をしていた 22歳新卒女性が経験した1990年代の日本と石川
能登の食や自然も楽しんだ。「肉は食べないので魚のある食卓は助かった」。刺し身やてんぷらといった定番はもちろん「家庭料理が好き」。マウンテンバイクで能登半島や長野県などを巡った。 ▽地震の恐怖 2024年元日の能登半島地震はニュースで知った。「(天災だから)手の施しようがない分、すごくショックだった」と沈痛な表情を浮かべた。「現在でも仮設住宅で暮らしている方も多いと聞き悲しい。美しい町が被災してしまい心が痛む」 羽咋市に滞在中の1993年2月、現地で地震を経験した。近所の寺でのぼりのポールが大きく揺れたことを覚えている。「当時、地震がほとんどないと周囲の日本人から聞いていた。今年の元日の地震にも驚いている」 ▽仕事に役に立った経験 英国帰国後はベルギーの欧州大学で法学修士を取得した。英政府で法律関係の仕事をしながら1997年に英イングランドで弁護士登録した。企業倫理やコンプライアンス(法令順守)が専門だ。
日本での生活経験は法律専門家としての仕事の向き合い方を教えてくれた。物事の考え方が違う日本人と仕事をする中で「同じ事を何度も質問されるうちに私の回答が的を射ていなかったのかなと感じた」という。そこから「正解とか間違いとかではなく、単に人はそれぞれ視点が異なるだけ」と気づいた。「法律専門家として仕事をする時も物事を多角的に見るよう心がけるようになった」 ▽ムーミン人気も当然 日本とフィンランドの共通点を聞いた。「伝統的な木造家屋や、人々が平和と静けさをこよなく愛する点でフィンランドと日本は似ているところが多い」と感じた。「だから(大きな花柄のデザインで知られる)マリメッコやムーミンが日本で人気なのも当然でしょうね」と話した。 フィンランド人の夫、アレクサンデル・ストゥブ大統領とはベルギーで出会い、1998年に結婚。2009年に夫の母国に移住した。趣味は夫と共にできるサイクリングやトライアスロンだ。成人した子どもが2人いるという。