シンガポールDBS銀行、機関投資家向けに「DBSトークンサービス」導入
ブロックチェーンベースのバンキングが可能に
シンガポールのDBS銀行が、機関投資家向けの新サービス「DBSトークンサービス」の導入を10月18日発表した。同サービスは、法人顧客向けの新しい取引銀行業務機能と業務効率の向上を目的としており、トークン化とスマートコントラクト対応機能を既存の銀行サービスに統合したものだという。 「DBSトークンサービス」は、DBS銀行のイーサリアム仮想マシン(EVM)互換のパーミッション型ブロックチェーン、中核となる決済エンジン、および複数の業界決済インフラを統合することで、即時かつ24時間365日のリアルタイム決済を実現するという。 さらに同サービスでは、スマートコントラクトにより、企業はあらかじめ設定された条件に従って資金の使用を管理できるようになり、セキュリティと透明性が向上するとDBS銀行は述べている。 また同サービスではパーミッション制ブロックチェーンを使用することで、DBSは同サービスを完全に制御でき、コンプライアンス基準を順守しながらブロックチェーン技術のメリットを活用することが可能になると同行は説明している。 DBS銀行のグローバル・トランザクション・サービス部門のグループヘッドであるリム・スン・チョン(Lim Soon Chong)氏は、「人々や企業の活動がオンデマンドのデジタルサービスへと大きくシフトする中、企業や公共部門の組織は、自社のオペレーティングモデルや顧客との関わり方を見直している。このシフトと変革を支えるためには、『常にオンライン』の新世代バンキングサービスが不可欠だ」とし、「トークン化とスマートコントラクトの機能を活用することで、DBS トークンサービスは、企業や公共部門の組織が流動性管理を最適化し、業務のワークフローを合理化し、事業の回復力を強化し、エンドユーザーやエンドカスタマーとの関わりにおける新たな機会を開拓することを可能にする。これは、トランザクションバンキングにおける大きな前進であり、既存の金融機関がブロックチェーン技術を活用して、画期的な新機能や体験を提供できることを示すものだ」と述べている。 さらにDBS銀行は、アリペイの国際部門であるアント・インターナショナル(Ant International)との試験運用において、財務および流動性管理ソリューション「トレジャリー・トークン」を開始したことも報告。同ソリューションは、、複数の市場で事業を展開する大企業が、従来の銀行システムに関連する通貨の締め切り時間や銀行営業時間外の制約を受けずに、24時間365日体制で即時に複数通貨のグループ内取引を決済することを可能にするもので、現在、アント・インターナショナルの国際部門内でのグループ内送金をサポートしているという。 DBS銀行はまた、支払いワークフローの改善を目的とした条件付き支払いのさらなる応用も模索していく予定だ。 DBS銀行はエンタープライズ・シンガポール(Enterprise Singapore)およびシンガポール・フィンテック協会(Singapore Fintech Association)と協力し、プログラマブルな助成金交付のパイロットプログラムを実施しており、同プログラムでは資金の交付を管理する条件をプログラムする能力が実証され指定仲介機関が処理する交付金について、機関がガバナンスを強化できることが示されたとのことだ。
あたらしい経済編集部