この世界に必要なワゴン! ボルボV60 B4へ試乗 クラス最大級の荷室 2025年にも不満ナシ
新旧の丁度いいバランス クラス最大級の荷室
英国のディーラーへ再び並ぶことになったといっても、V60が新型というわけではない。2018年にモデルチェンジした、2代目ではある。かといって、それが残念なことだとは思わない。 近年のクルマは、モデルチェンジしても、必ずしもすべてが良くなるわけではない。V60には、ヘッドライトやラジオのボリュームなどに、実際に押せるボタンやダイヤルが残っている。タッチモニターも備わり、新旧の丁度良いバランスにある。 交通標識の読み取り機能は、ステアリングホイール上のボタンで、簡単にオン/オフを選べる。シートは大きくゆったりしていて、メーター用モニターの文字は読み取りやすい。現代的でありながら、すぐに馴染める。定番のスニーカーのようだ。 V60の大きさは、全長4761mm、全幅1850mm、全高1433mm。コンパクトではないが、上級モデルとして望ましいサイズ感だと思う。荷室はクラス最大級。後席の背もたれを起こした状態でも、奥行きは1020mmもある。容量は529Lだ。 その背もたれを畳めば、奥行きは1850mmに伸び、容量は1441Lへ広がる。床面には、荷物が転がるのを防ぐ仕切りが用意され、フックもある。床下には、スペアタイヤが入る空間もある。間仕切りのネットは、90ポンド(約1万8000円)のオプションだ。
走りは軽快 乗り心地は良好 2025年にも不満ナシ
英国仕様で選べるパワートレインは、2.0Lガソリンターボでマイルド・ハイブリッドのB4と、プラグイン・ハイブリッドのT6という2種類。今回の試乗車は、その前者だった。最高出力199psと、最大トルク30.4kg-mを発揮する。 トランスミッションは、7速デュアルクラッチ・オートマティックのみ。ステアリングホイール裏にパドルはなく、発進時のギアの選択は遅れ気味だが、走り出せば気にならない。走行中はエンジン音がほぼ聞こえず、車内は穏やかだ。 タイヤは19インチで、235/40というサイズだが、乗り心地は好ましい。車重は1734kgと、近年では軽い部類に入るため、相対的に走りは軽快。ちなみに、BMW i5より約700kgも軽量なことになる。 マイルドなハイブリッドで、燃費は14.0km/Lほど。驚くほどの数字ではないが、数年前のディーゼルターボのV60と同等。大きすぎず重すぎず、運転しやすく快適で、車内空間には余裕がある。2025年のファミリーカーとして、まったく不満はない。 ボルボのCEO、ジム・ローワン氏は、「MPVだけでなく、サルーンやステーションワゴンも弊社は提供しています。もちろん、SUVも。幅広いラインナップを擁し、有利なポジションにあるといえます」。と話している。 そう、彼が述べるラインナップには、落ち着いたV60とV90も含まれている。こんな控えめなステーションワゴンが、長く続くことを願っている。
ボルボV60 B4ウルトラ(英国仕様)のスペック
英国価格:4万8070ポンド(約937万円) 全長:4761mm 全幅:1850mm 全高:1433mm 最高速度:180km/h 0-100km/h加速:7.6秒 燃費:14.5-15.9km/L CO2排出量:158g/km 車両重量:1734kg パワートレイン:直列4気筒1969cc ターボチャージャー+ISG 使用燃料:ガソリン 最高出力:199ps/4750-5250rpm 最大トルク:30.4kg-m/1500-4500rpm ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック(前輪駆動)
執筆 AUTOCAR JAPAN編集部