澤のなでしこ監督誕生は2023年?
日本サッカー協会の小倉純二名誉会長は、2023年女子ワールドカップの大会組織委員長に澤を推したいとする試案を明かしている。17日付の新聞紙面には日本サッカー協会内における要職や、来夏の参院選で自民党内に出馬待望論があるという報道まで飛び交った。 世界クラスの澤の知名度や積み重ねてきた濃厚な経験と実績を考えれば、まさに引く手あまたと言っていい。引退することで、かねてから訴えてきた、女子サッカーが置かれた環境を引き上げる役割に本腰を入れられる状況も整う。 それでも、やはり見たいのは指導者としての道を歩み、自身の後継者を育てながら、頂点のチームとなるなでしこジャパンを率いる澤の姿となる。 実際、将来の進路から指導者を除外しなくなったいま、可能性は一気に広がったと言っていい。「S級ライセンス」を取得するまでの時間を考えれば、日本招致に成功した場合の2023年の女子ワールドカップが、「なでしこジャパン・澤穂希監督」の晴れ舞台となるのではないだろうか。 感覚派を自任してきた澤だが、ライセンスを取得してく過程で自分の考えや経験を体系立てて整理することができる。「苦しいときには私の背中を見なさい」という名言を残し、日本を初優勝へ導いた2011年の女子ワールドカップにおける得点王&MVP獲得など、実際に数々の伝説を打ちたててきたクイーンに確固たる理論が備われば、まさに鬼に金棒となる。 「今後はサッカーはもちろん、日本のスポーツ界や世界でも活躍できるような、澤穂希にしかできない仕事をやっていけたらいいなと思います。子どもが大好きなので、日本女子サッカーの底辺を広げるためにも、普及とか、子どもたちに夢を与えられるような仕事ができればいいなと思います」 会見の冒頭では思わず感極まった澤だが、最後は満面の笑みを浮かべながら将来の夢を語った。ベスト8に残っている皇后杯で、30年に及んだサッカー人生にひとまずピリオドを打つレジェンドの第2の人生には、さまざまな夢と可能性が膨らんでいる。 (文責・藤江直人/スポーツライター)