【独自】半導体「JSR」元研究開発トップ 5000万円超を不正使用 政府系ファンド傘下
半導体部材メーカーのJSRの研究開発部門のトップだった男性が、5000万円を超える経費を不正に使用していたことがテレビ東京の取材で分かりました。きょう、エリック・ジョンソンCEOがテレビ東京の単独インタビューに応じ、「非常に深刻な不正行為があった」と元CTOによる巨額の不正使用を認めました。 JSRは、半導体製造に欠かせない部材「フォトレジスト」で世界トップクラスのシェアをもつメーカーで、政府系ファンドの産業革新投資機構(JIC)が去年6月、約1兆円で買収することを発表しました。JSRの関係者は「会社は今年初めから不正事案を把握していた」といいますが、JSRがJICに不正使用問題を伝えたのは、今年4月16日の買収完了後でした。ジョンソンCEOは、「入念な調査に時間がかかった」と話し、買収への影響を恐れて不正の報告を遅らせたのではないかとの見方については否定しました。一方、JICの横尾敬介社長は、JSRから報告を受けていたことを認めた上で、「買収に影響はなかった」と話しました。 複数の関係者によりますと、JSRの研究開発を統括していた元CTOの男性は、2017年ころから今年にかけて、カラ出張などを繰り返し、5000万円を超える経費を不正に使用していたということです。JSRは、元CTOが今年4月30日付で「退任」したと発表しましたが、実際は「懲戒解雇した」(ジョンソンCEO)ということで、不正の詳細などを今後発表する予定はないとしています。