7月から「新紙幣」が発行! 海外は“王室”の人がデザインされることもあるのに、なぜ日本で「天皇陛下」のデザインは使われないの? 理由を考察
2024年7月3日より新紙幣が発行され、肖像画の人物も新しくなりました。こうした紙幣の肖像画はどのようにして選ばれるのでしょうか。また海外ではその国の国王がデザインされていることもありますが、日本では「天皇陛下」をはじめとした皇室の方々がデザインされることがないのはなぜでしょう。 本記事では日本における紙幣のデザインの基準と、天皇陛下が紙幣の肖像画に採用されない理由について考察していきます。 ▼実家の物置で「鳳凰」の描かれた100円玉を発見! 昔のお金は今も使える? 高く売れる場合もあるの?
新紙幣の肖像画として採用される人々
今回新しくなったのは一万円札、五千円円札、千円札の3種類です。 一万円札の新肖像画は、「日本近代社会の創造者」と言われる実業家の渋沢栄一です。五千円札は日本初の女子留学生で女性のための大学を設立し女子教育に尽力した教育家・津田梅子。千円札は破傷風や伝染病の治療法を研究した細菌学者で「近代日本医学の父」と呼ばれる北里柴三郎です。 いずれも明治から大正にかけて日本の発展に大きく貢献した人物です。
肖像画に採用される基準
お札に使用される肖像の人物はどのように選ばれているのでしょうか。選定に明確な基準があるわけではありませんが、日本銀行は注意を払っている点として、次のように説明しています。 「例えば、(1)極力実在の人物で、業績があり知名度も高く親しみやすいなど、国民から尊敬され日本を代表するような人物であること、(2)偽造防止の観点から、簡単に複製できず、かつ人の目を引く特徴のある顔であることなど」 また、戦後にGHQ(連合国最高司令部)が日本を統治していた頃、「軍国主義的な色彩」の強い人物に難色を示したため、その影響が現在まで続いているのか政治家は採用されにくくなっています。 ちなみに最も多く日本の紙幣の肖像画として採用されたのは聖徳太子です。日本人の多くが知っている歴史上の有名人物であり、飛鳥時代の衣装やたくわえたひげなど特徴的な肖像画が残っていることからお札のデザインとしても採用されたのではないでしょうか。