はやぶさ2のリュウグウ観測でJAXA会見(全文1)赤道の重力は地球の8万分の1
小型モニターカメラ「CAM-H」の説明
ここまでがまずBOX-B運用でして、次は、引き続き、10ページ。これは小型モニターカメラ、CAM-H。CAM-HのHはヘッドなので、正確には小型モニターカメラヘッドということになるんですが、これは皆さんからの寄付金によって製作、搭載された、小さなカメラなんですけれども、このカメラが下の図のように探査機の側面の下に付いておりまして、サンプラホーンが撮影できるようになっております。このカメラを使って、現状のサンプラホーンの撮影を行いました。撮影された画像が11ページになります。これは8月14日の日に撮影したもので、サンプラホーンが写っているだけなんですが、打ち上げ直後と同じように、正常にホーンが見えるということで、われわれ、実施によってサンプラホーンの状況が確認できたということになります。 なお、ご参考までに12ページには、サンプラホーンというか、LRF-S2、これはレーザーによって探査機の底面からサンプラホーンの先端までの距離を測るレーザーがあるんですね。そのレーザーの試験を今年の4月にやっておりまして、そのときの写真も掲載しました。赤丸で描かれているところに、白く光っているんですが、そこに反射板がありまして、そこに探査機底面からレーザー光が当たっているところですね。で、このレーザー光によって探査機底面とこのサンプラホーンの先端の距離を測っているんですが、その距離が縮んだり、あるいはレーザーが外れたりしますと、設置したと、サンプラホーンが表面に触ったということで弾丸が打ち出される、そういうメカニズムになっているんですが、レーザーの試験も4月のうちにやっていたということになります。ご参考までに、このページの右側は打ち上げ直後に撮影したサンプラホーンの様子で、これ、当然ですけれども変わっていないということになります。
「アストロダイナミクス」の説明
男性:それでは続いてアストロダイナミクスの紹介に移りたいと思います。 池田:アストロダイナミクスについて池田から発表したいと思います。まず初めに、このアストロダイナミクスという言葉がちょっとなじみのないところだと思いますので、私たちが扱っているのは宇宙工学上で扱われる飛行力学全般を取り扱うものになっています。で、キーワードを挙げると、軌道運動であったり、姿勢運動、あとは航法、誘導、制御というのが含まれております。 で、その中で私たちのチームの活動は、「はやぶさ2」探査機自体の軌道を求める。あとは小惑星の軌道を求める。あと小惑星の重力場モデルを作成したり、それを評価するという作業もやっております。そのほかに、小惑星の周りでどのように探査機が軌道運動するのかという評価もやっていまして、あとは実運用のシステムに反映するパラメータの推定などもやっております。で、到着から現在までの観測で分かったこととしましては、小惑星の重力、あと小惑星近傍の力学の環境ですね。それから小惑星の軌道についても推定しております。本日説明する項目は上の2つ、重力と近傍の力学環境についてご説明したいと思います。