“ファッション=テニス”ビームスが手掛ける新ブランド「Setinn<セットイン>」とは。ディレクター新井伸吾に聞くテニス界に参入したワケ【テニス】
90年代のテニスウェアをオマージュしたセットイン「おしゃれで、強く見せることの中の一番を目指したい」
――その“洋服”のディテール面でのこだわりは? 「ジャケットやニットなどほとんどすべてのアイテムに、そのままテニスができるように裏メッシュをつけています。そのほかにもサイドに見えないづらいコンシールジップポケットを使って、たくさんのボールを入れられるようにしたり、スラックスに関してもメッシュをつけて裾を絞れたりする。でも、タックが入っているからクラシックな装いですよね。細かなディテールで言えば、ジップをよく見るとテニスラケットになっていたり、ドローコードの先はグリップの形になっている(笑)オンコートとオフコート、それぞれで着るアイテムをラインナップの中でも分けているんですけど、基本的には両方使えるようにしています。ディテールにもこだわっていますが、セットインの特徴はサイジング。現状のテニスウェアでセットインのようなゆったりしたシルエットのものはなく、これらは昔のテニスウェアの型をサンプリングしているんです。僕らはそれをオマージュし、遊び心も含めて現代のテニスウェアとして昇華させています」 ――洋服でありながらテニスウェアでもある。プレーする人の気持ちがわかる新井さんだから気づけるところですね。 「僕はインハイ、インカレに出ましたけど、そこまで大した成績を残せずに終わった。なんでちゃんとやらなかったんだろうと後悔もあります。大した結果も貢献もできなかったけど、今なら違う形でテニス界に貢献できるかなと思っています。今の立場、ビームスでテニス界に貢献したい。僕の茶々というのは、いい意味でも悪い意味でも貢献すること。もう少しテニスをおしゃれに、楽しく、間口を広げていきたい。僕たちだから新しい層をテニス界に呼びこめると思っています」 ――すでに全国選抜高校テニス大会でも公式ユニフォームとして携わられています。ですが、テニス界にはまだ参入したばかりです。どのような存在感を示してきたいですか? 「(全国選抜高校テニス大会の)審判団の方たちが着てくれて、それはもうテンションが上がりましたよ」 「今のテニス界に新規の参入がないのは、ビジネスとしておいしくないからだと思いますが、僕らは単にモノを売ってビジネスをしようとしているのではありません、コト売りとしてのビジネスのほうが大切だと思っているので、今はそのためのプロセスでしかない。現段階では、『セットインって聞くようになったな』と思ってもらえたらすごいうれしい。来年には、もう一歩テニス界に足を踏み入れられそうなので、だから着ている選手がいたら『あっセットインを着てる』みたいになってくれたらいいですね。僕らは選手の強化に手を出すことはできないけれど、それをサポートすることはできる。おしゃれで、強く見せることの中の一番を目指したいなという気持ちです」 ――セットインを着ているプレーヤーやビームスによるテニスクラブを楽しみにしています。貴重なお話ありがとうございました。
Tennis Classic 編集部