東京スター銀行、アジア富裕層向け日本の不動産投資ローン拡大
(ブルームバーグ): 東京スター銀行(東京・港区)が、活況を呈する日本の不動産市場への投資を望むアジアの富裕層への融資を拡大している。
昨年から提供を開始したのは、非居住者が日本で不動産を購入するための口座開設と不動産投資ローンのサービス。円安と低金利を背景に海外から日本の不動産市場に対する関心は高い。
谷村明政代表執行役常務(クロスボータービジネス担当)はブルームバーグとの英語インタビューで「アジア諸国の顧客からの申し込みは、ますます増えている」と語った。
担当部署を立ち上げてから1年間で数百人の顧客が増えたという。台湾や中国、香港、シンガポールの富裕層が中心。具体的な融資残高については明らかにしていないが、今年の下半期には上半期比で3倍の増加を見込む。
東京スター銀は、台湾3位の金融グループである中国信託金融(CTBC)の傘下にある。谷村氏によれば、中国本土を含むアジア数カ国にネットワークを持つCTBCの支援を受けることで、日本の金融機関が通常行わないような海外顧客向けの口座開設や融資が可能になったという。
顧客は2000万円から数十億円の融資を受け、マンションの一室からビル全体、ホテルなどの購入に充てる。昨年11月に開業した大型複合施設「麻布台ヒルズ」(東京・港区)内にある高額で知られるレジデンス施設の物件購入向けにも融資を提供した。
2023年の首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の新築マンション平均価格は、3年連続で過去最高を更新した。主に低金利や供給不足、建設労働者の不足によるものだが、海外からの投資増加も一因となっている。
不動産仲介業者ナイト・フランクのアジア太平洋地域調査責任者、クリスティン・リー氏は5月のリポートで「アジア、特に台湾や香港、シンガポールの買い手が日本市場を席巻している」との見方を示した。
東京スター銀では、今後5年間でクロスボーダーバンキング事業を中核事業にしたいと考えており、アジアの中国人富裕層をターゲットにすると谷村氏は述べた。国際業務を手掛ける部門はこの1年で約20人を採用しており、同部門の従業員40人のうち約半数が中国語を話す。