柴田理恵「88歳の母は要介4の状態から1まで回復。健康に必要なのは生きる目的だと実感」抗加齢医学研究の第一人者・米井嘉一に聞く、健康な体を維持する秘訣
◆生きる意欲が体にもたらすもの 米井 ところで、柴田さんのお母様は、要介護4の状態から要介護1まで「奇跡の回復」をされたとお聞きしました。 柴田 もともと母は長く教師として働き、定年後もお茶の先生などをしながら富山で元気に暮らしていました。それが88歳の時に腎盂炎で入院して。意識が朦朧とし、要介護4に認定されるほど体調が悪くなってしまったんです。 米井 それは心配でしたね。 柴田 はい。でも治療のおかげで、1週間後に病院へ行ったときには、私のことがわかるくらい元気になりました。それで「お母さん、いま何がしたい?」と聞いたら、さすが私の母親ですね、「家に帰って酒が飲みたい」と(笑)。 それが10月だったので、お正月に自宅でおせちを食べてお酒を飲むのを目標に、リハビリを頑張ってくれました。 米井 柴田さんのお母様は、リハビリを早く始めたのがよかったんですね。もちろん病気やケガの治療に安静は必要ですが、時には健康に悪影響を与えることもあります。寝たきり状態が長く続くと、筋肉が弱って歩けなくなることも多いですから。
柴田 実はリハビリ中、トイレに行こうとして腰椎を圧迫骨折したんですよ。でも、私が「またリハビリすれば歩けるよ」と励ますと、「うん、わかった。酒飲みたいからな」って(笑)。そして年末年始には、自宅で富山のお酒を一緒に飲めたんです。 米井 今のお話は、今日のテーマとも通じるところがありますね。「病は気から」と言いますが、なにより大事なのは生きる意欲。これは医学的にも証明されています。最初にお話ししたように老化も病気ですから、「気」があれば予防できるんです。 柴田 それ、わかる気がします。母はその後もちょくちょく体調を崩していますが、勤務先だった中学校の建て替えが完了したと伝えると、「見に行きたい」と言って突然元気に(笑)。生きる目的って健康に必要なんだなと、母を見て思うんです。 私も健康長寿を目指して、先生から教えていただいた習慣を実践しますね。今日は、ためになるお話をありがとうございました。 米井 こちらこそ、柴田さんの若々しさの秘密を知れてよかったです。どうぞこれからもお元気でご活躍ください。 (構成=山田真理、撮影=天日恵美子)
米井嘉一,柴田理恵
【関連記事】
- 【前編】同じ年齢でも、老けて見えるのはなぜ?柴田理恵が抗加齢医学の第一人者に聞く、健康長寿の秘訣「老化は病気の一種で治療も予防もできる」
- 柴田理恵「富山で一人暮らしをする94歳母の遠距離介護から学んだ人生の終い方。笑って死ねたら最高に幸せ」【2023編集部セレクション】
- 健康寿命を伸ばすカギとなる「発酵性食物繊維」は、腸内で発酵することで効果を発揮!含まれている食品は?
- 『クローズアップ現代』で《健康寿命を延ばせるか》特集。東京大学医科学研究所・中西真教授が解説する「老いの正体」。ストレスが老化を促進、認知症の原因は…〈前編〉
- 樋口恵子 ピンピンコロリが理想でも、現実はそう簡単に…ドタリと倒れてから「さてどうやって生き延びるか」こそが大きな課題【2023編集部セレクション】